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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第三章 三女 あおい編
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葵7

大変遅くなりました!

どれくらい時間がたったのだろうか。

柿花直人かきはななおとは、あおいから離れ、顔を覗き込む。

少しずつ距離を詰めるが、あおいは、逃げようとせず、柿花直人かきはななおとの視線を、受け止める。


これ以上進んだら、俺たちは、何かが変わるんやろうか?


鼻が触れそうな距離まで、詰めて、距離を保つ。


いつもやったら、確実に嫌がるのにな。何があってん?


あおいの瞳を見つめながら、柿花直人かきはななおとは、思う。


一方、あおいは、魔法にかかって動けないかの様に、柿花直人かきはななおとを、見つめ返していた。


直人・・・。な・・・何を・・・するの?


わかるようでわからない、柿花直人かきはななおとの次の行動を待つ。


目・・・。つむるべき?


あおいは、自分が、彼のキスを待っている事実に驚き、とっさに、目を伏せる。

同時に、頬が熱くなる。

彼の手が、近づくのを感じる。

あおいは、とっさに目を閉じた。


ぶにっ


あおいの顔が上を向く。

いわいる顎くいではない。

彼の手は、あごではなく、彼女の鼻・・・、人差し指で、鼻を持ち上げたのである。

お世辞にも、かわいいとは言えない。

そんなあおいの表情を見て、柿花直人かきはななおとは、声をだして笑いだす。

あおいは、そっと目を開け、目の前の柿花直人かきはななおとを、軽く睨んだ。


柿花直人かきはななおとは、そのままあおいから離れて、自分の部屋に招き入れた。

コンビニで買って来た、ビールを、あおいに出す。コップも添えて。


「で、何があったんや?」

柿花直人かきはななおととは、テーブルを挟んで向かい合わせに座っている。

さっきのおとぼけた行動とは違い、真剣にあおいに聞く。


あおいは、そんな柿花直人かきはななおとを、しばらく見つめたあと、ポツポツと、事の次第を話し出した。

香月かつき課長の豹変ぶりを思い出しながら話していたら、あおいは、自然と、震えていた。

柿花直人かきはななおとは優しく、あおいの手を握った。


どうしたんだろう・・・。私。

このざわざわする気持ちって・・・。

ううん。

何でもない。

ちょっと・・・。気が高ぶっているだけ・・・。


気づくことも認めることもしたくないあおい。

自分に、再度、言い聞かせた。



◇◇◇◇


話を終えると、柿花直人かきはななおとは、香月かつき課長のことは、自分に任せて欲しいと言われた。

あおいも、できることならかかわりたくないので、彼の申し出に従う。


テーブルに置いた自分の手は、柿花直人かきはななおとの手を握っている。

誰かがいるわけでもない。

誰かに見せつける必要があるわけでない。


だから、握る必要はない。


そう思いながらも、離したくないという自分の気持ちを隠して、何気なくつぶやく。


「どうして、バレたのかな・・・。」

「そうやな。あおいが・・・初々しいさかいちゃうか。」

すぐさま、返答が返ってきて、あおいは、ビックリする。


初々しい?!

うーん。どこが?


柿花直人かきはななおとは、あおいの理解してない表情を見て、表情を崩す。

笑みを浮かべながら、優しく言う。

「俺は、そないなあおいが・・・。」


私?


言葉の続きを待つあおい。


柿花直人かきはななおとは、少し頬を染めて、目線を外して言う。


「かわいいで。」


どきんっ。


鼓動が早くなる。

あおいも、目を伏せる。

自然と、つないだ手に力がこもる。


私・・・。

私・・・。

直人のこと・・・。


あおいは、再度、思い直す。

これは、演技と現実が入り乱れて、混乱しているだけ。


そうよ。

そうでないと・・・ダメ・・・・。

始めてもないのに・・・。

嘘の恋人なのに・・・。


お互いの利害関係が一致して、一緒にいるだけなのに・・・。


早く・・・この関係を解消しなくては・・・。

私が、彼を好きになる前に・・・。


すでに、好きだという事実には気づかぬフリをするあおい。


柿花直人かきはななおとは、あおいが、そんな決意をしていることは、知らない。

あおいの手のぬくもりを感じながら、香月かつき課長、撃退作戦を練るのに必死であった。



二人のそばに、あおいのお気に入りチーズケーキの紙袋が置いてある。

その存在に、あおいが気づくのは、翌日である。



最後まで、読んで下さって、ありがとうございます!今月内に書き終えれなくて、ごめんなさい。

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