表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第三章 三女 あおい編
37/38

葵6

遅くなりました。

「そげん警戒しぇんで。」

香月かつき課長は、優しく笑う。

「今日は、好意ば持っとーことば知って欲しゅうて、誘うただけばい。」

今度は、艶やかな色香を漂わせて・・・。

「それとも、もっと・・・?」

あおいは、ブンブンと、かぶりを横に振った。


うう!

何なの?!


あおいは、自分のキャパを超えてしまい、焦っていた。

しかし、一つだけ、訂正しておかなくてはと、香月かつき課長に、向き直した。


「私は、直人と付き合っているので、お断りします。」

「うーん。中大路(なかおおじ)しゃんって、チャンスもくれんの?」

「え?」

「仮に、付き合うとーとする。ばってん、好きになった相手に、彼氏がおるけんって、好かんごとはなれん。うちんことば知ってから、断らるーなら納得しきる。(仮に、付き合っているとする。でも、好きになった相手に、彼氏がいるからって、嫌いにはなれない。私のことを知ってから、断られるなら納得できる。)」

「はあ。」

「やけん、チャンスばくれんか?」


ああ・・・。

どうしたらいいの!


あおいは、香月かつき課長の食い下がらない態度に困惑していた。


「あんまり好まん方法だばってん、既成事実ば作るってんも・・・」

そういいながら、香月かつき課長は、あおいの頬をなでる。

危険を察知して、即座に、答える。

「わかりました。チャンスだけです。」

香月かつき課長の指は、離れ、「ありがとう。」と、優しい声をかける。

少し意地悪な笑みと、一緒に。



◇◇◇◇


あおいは、柿花直人かきはななおとの部屋の前で、立ちすくんでいた。

自然と、足が向いて来てしまったのだ。

約束の日以外で、柿花直人かきはななおとの部屋に来たことは、ほとんどない。

どうしたいのか、何を言いたいのか、とにかくわからないまま、来てしまった。


私・・・。

何しているんだろう。

仮にも、別れようとしているのに・・・。


あおいは、ため息をついた。

きびすを返し、自分の家に帰ろうとする。


「え・・・。」

目の前に、柿花直人かきはななおとが、居た。

コンビニ袋を片手に、部屋に、戻ってくるところだ。

柿花直人かきはななおとも、あおいを確認して、小走りで近づいてくる。


「あおい、どうし・・・。」


柿花直人かきはななおとは、驚いて、その後の言葉を飲みこんでしまった。

あおいが、自分に抱きついてきたからだ。


私・・・。

何しているんだろう。

仮にも、別れようとしているのに・・・。


そう思いながらも、柿花直人かきはななおとに、まわした手の力を、強めた。

髪をすくように、二度、頭をなでた手は、優しくあおいの背中にまわされた。

普段だったら、恥ずかしくて嫌がるあおいだが、今日は、凄く心地よく感じてそのまま抱きついていた。

柿花直人かきはななおとの手が、腰に移動したこともきづかないほど、夢中で、抱きついていた。


少しして、あおいの耳を、甘い吐息と声がくすぐる。

「あおい、俺の部屋に、行かへん?」

「・・・んっ・・・。」

あおいは、自分でも驚くほどの甘い声をだしてしまい、慌てて、顔を上げる。


「!」


柿花直人かきはななおとと、至近距離で、視線がからむ。

返事を聞かず、柿花直人かきはななおとは、あおいから、離れ、指を絡めて、自分の部屋にまねく。

玄関で、向かい合うあおいと柿花直人かきはななおと

絡めた指を離し、あおいの髪を、二度すき、優しく、自分の腕の中に引き寄せる。

あおいも、彼に、自分の体重を預ける。


嫌じゃない・・・。

むしろ・・・。


温かい感情が、心に浮かぶ。


私は・・・直人のこと・・・。


自分の気持ちを、言葉にしてしまったら、ダメな様な気がして、あおいは、思い直す。


ううん。

ちょっと。酔っただけ。

偽彼にせかれに・・・。友人に、甘えているだけ・・・。


念じる様に、あおいは、心の中で、何度もつぶやいた。


読んで下さって、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ