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美しい花には秘密がある  作者: 美月すず
第三章 三女 あおい編
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葵4

「あおい・・・。さっきの・・・。」


耐えられない!


あおいは、柿花直人かきはななおとの言葉をさえぎった。

「ごめんなさい。立ち聞きするつもりは、なかったの!たまたま通りかかって、直人なおとと、女の子がいるから気になっただけで・・・。その、さっきのも、本気じゃないのは、分かっているから・・・。だから・・・えっと。」


何言ってるんだろう。

私。

ドキドキが、止まらない。

こんなの言い訳にすらなってないよ。

26歳の言葉ではないよ!!

ああーーーー。

恥ずかしい。


あおいは、どうしていいかわからず、焦っていた。

柿花直人かきはななおとは、そんなあおいを見つめ、彼女の頬に、手を伸ばす。

触れそうな位置で、一瞬、止まる。

そして・・・・・。


ぷにっ


「え?」


あおいのまぬけな声がれる。

あおいの右頬を軽くつねっている柿花直人かきはななおと


「あははは!!!」


柿花直人かきはななおとは、声を出して笑った。

無邪気な笑顔だ。

「あおい、本気や思たん?照れてもうて、アホやな。」

大阪弁。

直人の大阪弁が、優しく響く。


キレイな顔立ちに、似使わないようで、似使う直人なおとの大阪弁が、あおいは、好きだ。

楽しそうに、反対の頬も、つねる直人なおと


ようやく、あおいも、ふくれっつらになり、怒りだす。

二人は、いつものように、楽しくじゃれ合う。

さっきのことは、嘘だと証明されたのだけど、あおいの心は、モヤモヤしたものが残っていた。

柿花直人かきはななおとの、さっきのことを思い出すたびに、かき乱される気持ちの意味をあおいは、考えなかった。

いや、考えたくなかったのかもしれない。




◇◇◇


同じ週の木曜日。

あおいは、営業帰りに、とあるカフェでお茶をしていた。

このお店は、チーズケーキが有名である。

会社から少し距離があるお店。

このあたりに営業に来る時は、寄るようにしている。

あおいのお気に入りのお店の一つである。


大好きなチーズケーキを食べ終え、紅茶を飲んで、まったりしていると、声をかけられた。

「あおい?」

振り向くと、健太けんたが、立っていた。

人通りの多い道沿いにお店がある為、外から丸見えの為、あおいがいるのをみつけて、健太けんたが、店内に入ってきたらしい。

お茶していいか聞かれ、うなずき、同席する。

今日はスーツ姿の健太けんた

デパートで会った時より、大人っぽく、あいかわらずかっこいい。

しかし、久しぶりにあった前回とは違って、ときめきはわかなかった。

健太けんたから、この近くのビルに彼の働いている会社があることを教えてもらう。

他愛たわいのない会話が続き、ふと、思い出したように、健太けんたは、あおいに声をかける。

「明日の夜、あいてる?」

「ん?何で?」

「いや。この前言っていた、飲み、明日、どうかなって。」

「ああ・・・。」

あおいは、悩む。

金曜日夜は、柿花直人かきはななおとと、過ごすことになっている。

ただ、会社の飲み会や、友人とのごはんがあるときは、そのあと、柿花直人かきはなおとの部屋に行くのが、つねだ。今回も、それで大丈夫かなと思い、健太けんたに「OK」と、返事をした。

場所は、健太けんたが、予約してくれることになり、連絡を貰えることになった。

二人で、それぞれ会計をして、お店をでて、並んで歩く。


「あおい、変わってないよな。」

「え?どういう意味?」

むすっと、返事をした。

「いやいや。いい意味で。大人になると、嫌らしい奴いるだろ?」

「そうかな?」

「あー。あおい、鈍いよな。」

「は?何それ。これでも、社内では、営業成績いいんだよ!」

「・・・。そういうことではないんだが。」

「ええ?!」

健太けんたは、相変わらず、明るく素直なあおいに、好感を持つ。

いや、ふっきれたはずの片思いが、ぶり返したかのように、熱ぽい視線を向ける。

まったく気づかないあおいを、憎く思いながらも、自然と笑みがこぼれる。

ふくれっつらのまま、人にぶつかりそうなあおいを、引き寄せる。

「危ないぞ!」

軽く肩を抱く。

ほのかに甘い香りが、漂う。

健太けんたに、軽く寄りかかったあおいは、何もなかったかのように、「ごめんね。」と、すぐ離れる。


彼氏がいるとは言っていたが、今度こそ諦めたくない!


健太けんたは、そう心の中で強く思い、あおいと別れた。


その一部始終を、遠くから見ていた人物がいたことは、二人は知らない。


読んで下さって、ありがとうございます!よろしければ、最終話まで、お付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。

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