菫12
更新遅れました。申し訳ございません。
まいったな・・・。
世羅達也は、心の中でつぶやく。
すみれと、動物園デート行ってから、二週間経つ。
その間、すみれと連絡が取れないのだ。
連絡をとっても、返事はない。
学校では、もちろん会うが、顔を見るだけで、話せてない。
目が合っても、そらされる。
話しかけようとすると、逃げられる。
最初は、少し時間を置けば、元に戻るかもと思い、気にしていなかった。
気づくと、二週間たっている。
原因は、何じゃ?
世羅達也は、考える。
告白が、ダメじゃった?
再度、考える。
抱きしめたのが、ダメじゃった?
世羅達也は、いつも、ここで、思考が止まる。
同じことを何度も繰り返し考えるが、答えが出ない。
たとえ、抱きしめたのが、ダメだったとしても、ないことには、できない。
したいとも思っていないのである。
だが、すみれとの関係が好転すると思ったら、ふりだし・・・場外になってしまったことに、どうしたらいいかわからない。
正直、勉強が手につかない。
小説の締め切りも迫っているのに、行き詰っている。
しかし、解決策が思いつかず、思い悩んでいる。
今日は、文化祭。最終日。
自分の当番は終わったので、適当に他のクラスを見てまわった。
クラスの仲の良い数人とまわっていたら、声をかけられた。
キレイなストレートの黒髪を、なびかせ、頬が赤い。
走ってきたようだ。
知らない顔だ。
スリッパの色が、世羅達也と違うので、下級生だとわかる。
「あ・・・あの・・・。」
仲の良い数人を一瞥し、言葉を躊躇している。
気の利く一人が、「先、行ってる。」と、言い、皆が去って行く。
世羅達也は、彼女を見る。
人けのないところを指し、誘導される。
世羅達也は、鈍くない。
これは、もしかして・・・?と、容易に想像できた。
一緒に行くことで、誤解させてしまうのかもと思いながらも、自分だったら、逃げれる方が嫌かなと思い、ついていく。
人けがないと言っても、中庭の木陰だ。
声が聞こえない程度で、渡り廊下からは、丸見えだ。
下級生の女子が、意を決して世羅達也に、告白した。
「す・・・好きです。と、突然で、ごめんなさい。」
緊張しているらしく、言いたいことを次々に、言う。
うなずくので、精一杯だ。
「先輩は、大学受験で忙しいのは、知ってます。」
「それでも、私の事、知ってもらいたくて・・・友達からでいいので、お願いします。」
真っ赤になりながら、一生懸命話す姿は、かわいらしいなと思った。
彼女が、どこで、自分を知ったのか気になって、質問した。
「え・・・?塾が一緒です。何度か見かけてて・・・。一生懸命勉強している姿が・・・気になって・・・。」
と、頬を赤くしながら、教えてくれた。
世羅達也は、断るつもりでいた。
しかし、人生初めて告白されたこともあって、小説の参考になるのかもと思い、彼女の行動に興味を持った。
「ごめんね。僕、あなたのこと、知らなくて・・・。」
「大崎まどかです。良かったら、連絡先を、交換して下さい。」
スマホを出し、迫ってきた。
世羅達也は、女子の行動力に驚く。
こういうことされたら、男だったら、嬉しいよなと、思った。
純粋に小説に生かすことしか考えてない。
大崎まどかは、世羅達也の優しい瞳を勘違いした。
世羅達也の腕をつかみ、軽くゆすり、「お願いします。」と、笑顔で、迫る。
そこで、ようやく、断ってないことに、気づき、世羅達也は、焦った。
彼女の告白を断るのに、時間を要した。
その光景を、すみれに、見られているとは、世羅達也は、知らなかった。
◇◇◇◇◇◇
何やっているだろう・・・私。
すみれは、心の中で叫び、小さくため息をついた。
理由は、自分の行動だ。
動物園デートの翌日。普通に接する予定だった。
しかし、世羅達也を見た瞬間、抱きしめられたことを思い出し、先生としての仮面を被れなくなった。一回はずれたものを被るのは、容易でない。
自分の気持ちを意識した女の子が、どうしていいかわからず、逆に、避けてしまうという態度をとり続けている。
最初は、自分自身でも、ダメだと思ったが、このままなかったことにしようと決めて、あえて、態度を続行している。
正直、辛い。
でも、すみれは、先生だ。世羅達也は、生徒だ。
ずるいかもしれないが、このまま嫌われようと決めた。
文化祭が終わろうとしている今、すみれは、渡り廊下を歩いていた。
何故か、窓の下に目をやる。
特に理由はなかった。
しかし、すみれは、大きな後悔をした。
目線の先には、世羅達也と下級生の女子が、仲良さそうにしていたからだ。
親し気に、世羅達也の腕を掴んでいる。
これでいいのだ。
いいはずなにに、心は、思い通りにいかない。
すみれの瞳は、切なく、嫉妬の炎が宿っていた。
読んで下さって、ありがとうございます。
すみれ編、今月内には、書き上げたいと思っています。近日更新、目指します。最後まで、お付き合い下されば、幸いです。




