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え……!? いつも飄々としている先輩が突然まじめなトーンで言った。
「マッスルパスっていうのはね、誰でもあんなに飛ばせるものじゃないんだからね、マジックの団体によってはマッスルパスの大会も開催していてそれの最高記録者はギネスにも認定されてる。手の大きさや、形、握力といったものがたくさんミックスされていて単純な動作だけど極めるのはとても難しいの、それらに恵まれていなければどんなに練習しても数十センチしか飛ばせずに人生を終える人だっている、それを一度やっただけで上向きにあれだけの飛距離を出した君はすごいんだよ!」
「あ、あざっす……」
そんなすごいものなのか、先輩がこんなに熱く語るとは思ってもいなかった……
「な、なにアレ……!?」
先輩が指さす方を見ると遠くから土煙が立ち込めている……何かが近づいてきているんじゃ……!?
***
……確実に何かが俺たちに向かって迫ってきていた……ここは異世界、だとすれば俺たちは異端者である。そんなよそ者をこの世界の人間が受け入れてくれるだろうか?
世の中そんなに甘くはない、とはいえ何も持たずにこんなところに飛ばされた俺たちに何ができるのだろう、しかもここは何もない荒野である。武器にできそうなものはなさそうだし作れそうなものもなければ作っている暇もない。どうすれば良いのだ……?
「後輩君、このままじゃ私たち絶対やられちゃうよ!」
「わかってます、でも今の俺たちには何もできないっすよ……」
「そんなことないよ!!」
そう言って先輩はスカートのポケットの中からコインを取り出した。
「後輩君、これを使って! マッスルパスをするんだよ!」




