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TWINE TALE  作者: 緑茶猫
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Flag6―心と約束と小さな樹氷―(10)

「黙ってれば良いだろ……?」


「……つまりそう言うプレイの方が好きって……事?」


「どうしてそうなった」


「ツカサは……中々強引……」


 ギュッと自身の身体を抱き締めるノスリ。どっちがだ。


「話を聞いてくれ……」


 いつからこの子はこんな風に…………最初からか。


「全く……ツカサはしょうがない……」


「無視すんな! そして何で制服のリボンを緩めだす!?」


「でも大丈夫だから……安心して……」


「やめろ! 脱ごうとするな!」


「ツカサ……だけだよ……?」


「ああもうわかったから! 玄関開けるから!」


「ん……わかれば良い……」


「ならまず制服をちゃんと着てくれ……」


 今のノスリを状態を一言で表すなら着崩された制服と言った感じだ。こんな状態を誰かに見られたら誤解されかねない。


「はぁ……」


 そんな事を考えると、溜め息が出てくる。ちなみにいやらし事は一切考えてない…………決して。


 項垂れた顔を上げて、ノスリが服を着たことを確認しようとした時、ガチャリと、玄関の扉の方向から何かが外れる様な音が響いた。


「えっ?」


 俺が急いで玄関まで向かうと、いつの間にか移動していたノスリが玄関の扉の鍵を……開けていた。……制服が開けたままの状態で。


 開いてゆく玄関の扉。


 焦りだす俺。


 しかし俺がいくら急いだところで扉は止まってくれなかった。


「ははは……終わった……」


 口からは乾いた笑いと諦めの言葉が自然と洩れた。


 そうして、扉が完全に開かれると共に聞こえてきたのは戸惑いの声。



「えっ……?」


「へっ?」


「え゛?」


「あらまあ……」


「なっ!」



 その声からは床を見つめている俺にも今誰がどのような表情を浮かべているのかが嫌でもわかった。



「アンタ……何してんの?」


 そして空気が凍った様な状態から少し時間が経過した時、そんな声と共に目の前の床に影が見えた俺は顔を上げた。


 それと同時になびく桜吹雪の様に舞う髪が視界に入る。死神ですねわかります。


 死神さんはよく見なくても、きつく握られた拳は体ごと小刻みに震え、顔を真っ赤にして歯を食いしばり俺を睨み付けているところから怒っている事が伺える。


「誤解だ」


 俺がそう言うと死神さん……カーミリアさんは俺をさらにきつく睨み付けながらゆっくりと口を開いた。


「……何が誤解よ?アンタがアタシ達を呼んだんでしょ?」


「……はい?」


 何を言っているのだろうか? 俺は押し掛けられた被害者側であるはずなのに。しかしカーミリアさんはそんな俺の困惑に気付かないまま言葉を続ける。


「アンタが来て欲しいって聞いたからせっかく来て上げたのにこれは一体何よ? アンタはそんな事を見せ付ける為にわざわざアタシ達を呼んだわけ?」


「ち、ちょっと待て!」


「何よ? 見苦しい言い訳でもするつもり?」


「いや、それ以前に俺は誰も呼んだ覚えはない。ノスリもだ」



「酷いー……私の事は遊びだったのー……?」



 ……何言っちゃってんのこの子?


「アンタ……最ッ低ね!」


「おい、待て! 今完全に棒読みだっただろうが!」


「諦め悪いわね! いい加減認めなさい!」


「人の話を聞け!」


「変態の話を聞く耳なんか持って無いわよ!」


 駄目だ……話を聞いて貰えない……周りを見てもコーチとかレディは馬鹿みたいに笑ってるし……ん?


「……おい、コーチ」


「な、なんだ? ぷぷっ……」


 俺は何も言わずに《暦巡》を取り出す。


 この際疲労や残り魔力の量は気にしない。


「待てツカサ! お前それ以上魔法を使ったら倒れるかもしれないぞ!?」


 確かに俺とコーチはカーミリアさんの地獄の様な練習のせいで既に限界に近い。


 だけど……。


「それがどうした?」


「いや! 大事な事だから!」


「大丈夫、お前を叩き潰すまで俺は倒れない」


「台詞は無駄に格好いいけど今言うような台詞じゃねぇ!」


「男にはやらなくちゃいけない時がある。だからさコーチ……くたばれ……!」


「刀を振り上げるな! そもそもこれは俺のせいじゃない!」


 何らかの面倒事が起きる時は俺の経験上十中八九コーチが原因だ。


「なるほど、今更ながら言い訳か……見苦しい」


「だから待ってくれ! 今の俺の状況はさっきのお前と状況と同じだ! お前は俺の気持ちがわかるだろ!? だからせめて話位は聞いてくれ!」


 言われてみると確かにそうかもしれない。


「……わかった。とりあえず話は聞く、その代わりくだらない話だったら……」


「オゥケイオゥケイ! 大丈夫だ! だから俺の首筋に触れてる刀を離してくれ!」


 仕方ない。ここは素直に言う通りにしよう。


「とりあえず手短に説明するぜ?」


 俺は首肯する事で返事を済ます。


「いいか? 驚くかもしれねぇけど……こうなった原因はケトルだ」


「嘘だな」


「いや! ホントにマジだから! 刀を向けるのは止めてくれ!」


 俺はそう喚くコーチを無視してケトルの方へと向き直る。


「ケトル、本当か?」


「ウフッ! バレちゃったわね。そうよ!」


 笑顔は良いけどウィンクはやめてくれ。俺は腹部から蠢く様に沸き上がってきそうな吐き気の衝動を必死に抑えながら聞き返す。


「何でそんな事をしたんだ?」

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