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TWINE TALE  作者: 緑茶猫
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Flag5―真冬の桜―(2)

 そう言えばそうだった……けど、疑問が一つ。


「召喚魔法って一部を除いて難しいんじゃなかったのか?」


 確か学園長が簡単に使っているがあれは異常だった筈だ。


「まあそうなんだけど契約武器の召喚ってのは『召喚魔法は一部を除いて難しい』の“一部”に入るんだよね!」


 成る程、それなら安心だ。


「更に契約武器を召喚する時に必要な魔力は初級と中級の間位なんだ! だからつーまーりぃぃ! 練習さえ頑張れば契約武器は簡単に使える様になるんだよ! 安くてお徳なんだよ!」


 何故かハイテンションのレディに合わせて「ピューピューパフパフーッ!」と盛り上げるコーチと何故か拍手をするルーナ。


「これにてボクの授業は終わりだよ! どうだった!?」


「うん、わかりやすかったよ」


 途中のテンションはともかく、契約武器がどんなものなのかは理解する事が出来た。


「あっ! そうそう! 契約武器だけどやっぱり才能がある人は強力な武器が多いらしいよ?」


「マジで?」


「うん、マジだよ」


「じゃあ……コーチが天才だってのか?」


「そうだねーそれなりに才能はあると思うよ?」


「ほらツカサ! 俺は天才なんだよ!」


 そう言ってコーチは勝ち誇った笑みを浮かべる……よし、無視しよう。


「……でもさ、そのコーチでもクラスで三位なんだろ? じゃあ一位と二位は誰なんだ?」


「あー……それの一人はケトルって奴なんだけど……」


 そう言ってコーチは周りを見渡す。そんな時、俺は後ろから誰かに声を掛けられた。


「あら? 呼んだかしら?」


 その時、俺は戦慄した……だって声が男だもん。


 恐る恐る振り向くとそこには瞳の色は橙色で何故か睫毛が長く、スキンヘッドでムキムキな大男が居た。


「ああそうだツカサ、コイツがクラスで二位のケトル=ストレングスだ」


 名前からして強そう。見た目も強そうだけど。


「お話しするのは初めてねツカサちゃん! ワタシのことはケトルって呼んで! ウフッ! ケティちゃんでも良いわよ」


 ケトルはそう言うと手を差し出してきた。


「よ、よろしく……ケトル……さん」


 俺は差し出された手を恐る恐る掴み、握手を交わす。……手が痛い。


「よろしく! ケトルで良いわよ、ねっ!」


 挨拶変わりのウィンク…………魔法の世界には精神を攻撃する魔法もあるのか。


 しかしこんな魔法を持っているこの人にも勝てる人が存在するという事が不思議でならない。


「なあ、一位は誰なんだ?」


 ケトルより大きい人をイメージしたがこのクラスを見る限りではケトルより大きい生徒は居ない。


「それはあの子よ」


 そう言ってケトルが指を差したのは窓際の席で机に頬杖を突いて、少しつり目な金色の瞳で外を眺めているスレンダーで綺麗な顔をした女子生徒だった。


 桜色の髪を右耳の上で纏められた、いわゆるサイドテールの髪が風になびき、桜吹雪の様に舞った。


 少し髪に気を取られていた目を彼女に戻してみると、彼女の視線はどこか切なく、ここではない遠くを眺めている様に見えた。


 その表情に俺が少し引っ掛かりを感じた時、コーチが口を開いた。


「彼女の名前はプラナス=カーミリア、現在のクラス一位であり、学年では無く学院一位の実力者だ」


「学院一位?」


 まだ一年で学院で一位と言うのはかなり凄い事なのではなかろうか?


「そうだよ。その上、彼女の家は英雄の家でも無ければ、貴族や名家の血筋でも無いんだよ。本当に凄いよね」


 そのレディの言葉はどこか元気が無い。


「どうしたんだ?」


 俺の問いに答えたのは心配そうな瞳でカーミリアさんを見ているケトルだった。


「あのねツカサちゃん。あの子はちょっと周りを拒絶しているのよ」


「あれは中々堪えたぜ……」


 何の事かわからないがそう言って苦笑いをするコーチ。


「少し不器用なんでしょうね」


 同じくルーナも苦笑いをする。


「えっ……? 何が?」


「気になるんだったら次の授業は二限使って授業する魔法戦闘の実技だからその時話してみたらどうかな? まあ、そろそろアレがあるだろうから嫌でも関わる事になると思うけどね……」


 そんな中で、レディは悪戯っ子の様な含み笑いをした。アレって何?


「そっか……まあ、話してみたらわかるならやってみようかな」


 レディが言った“アレ”についてはその内わかりそうなので特に気にしない事にした。


 しかしそんな時、何故かコーチが全力で止めに来た。


「いや! やめとけツカサ! 冗談を真に受けるな。魔法戦闘の実技のカーミリアさんとの接触は避けるべきだ!」


「コーチがそんなこと言うなんて珍しいな」


 あのコーチが女の子をさん付けで、その上名字で呼んでいるのは何かあるのだろう。


「でも、気にすんな。大丈夫だから」


 コーチが俺の身を案じて言ってくれているのはわかるが、それよりも俺の中には外を眺めていた時の彼女に感じた引っ掛かりが気になっていた。後、コーチだし『パンツ見せて下さい』って言ってボコボコにされたのかもしれないし。


「……何だよコーチ、その呆れた様な表情は?」


「まあ、お前が良いなら良いんだけど……これだけは言わせて貰う! 心をしっかり保て!」


「えっ? ああ……」


 よくわからないがとりあえず有り難く受け取っておこう。




 そして少し時間は経ち、第三演習場で魔法戦闘の授業が始まった。


「じゃー今日は模擬戦するけど誰かしたいやつ居る?」


 ネアン先生は皆に呼び掛けるが誰も反応しない。


「ハハッ! お前らわかってんじゃねぇか!」


 しかし何故か独りでに笑いだした。……事情を知らない人が見たら普通に引くだろう。かく言う俺もその事情は知らないし若干引いている。


「なあ、コーチ……ネアン先生が変だ」


「いつもの事だろ?」


「……確かに」


 納得。なら問題ないな。コーチ……説得力のあり過ぎる答えをありがとう。


 しかし質問の答えにはなっていないので相手を変えてもう一回質問をする事にした。

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