ゲーム世界に転生したってマジ!?
ある日、鏡に映る自分の姿をじーっと眺めていたら、ふと思い出しちゃった。
わたし―――ヴィオレッド・ロシュフォールには、女子高生だった前世の記憶がある。
……いえ、頭がおかしくなったわけでなくて、むしろ一番驚いてるのはわたしなんです。
前々からどうもおかしいとは思っていた。
ロシュフォールという名前には謎の既視感を感じていたし、極めつけはこの派手な容姿。
胸元まで伸びる桃色の髪と、ピンクブロンドの瞳。ふくよかな体型の幼女に、「おや、どこかで見たことあるような?」と首をかしげて。
その瞬間、シャンメリーの蓋がポンっとはじけたような衝撃が脳内に響き、全部思い出した。
ええっ、わたしって『truelove fantasy erotic』に登場するヴィオレッドじゃね!?
ただの転生じゃなくて、まさかゲーム世界に転生とはビックリ。
バレー部の後輩だった、ちーちゃんが「このゲーム面白いから先輩やってみて!」と貸してくれたから全作プレイしたんだけど、どんな内容だっけ……。
「んげぇろっ!?」
そうじゃん!
これ、女性向けR18ゲームだ!
そんでわたしは女主人公ちゃんを妨害する悪役侯爵令嬢様。
(ちょっ、ちょっと待って。これまずくない!?)
なにがやばいって、このゲームのざまあ要素って、基本エロいんだよね。
ヴィオレッドはすぐに癇癪を起こす問題児だから、陰で「子豚令嬢」なんて馬鹿にされていた。そんな彼女の結末は、全ルートにおいて陵辱エンド……。
「はわわわわ」
嘘でしょ。
えっちなバッドエンドしかない悪役令嬢にわたしが転生したって、マジ!?
「ムリ、絶対にムリ!前世でも未経験なのに、初めてが無理矢理だなんて絶対にイヤっ!」
全身からぶわーっと冷や汗が噴出して、声が震える。
「いやだぁぁ誰か助けてぇ!」
そう叫ぶと、白髪頭のオジサンが血相を変えて乗り込んできた。
「お嬢様っ、どうされたのですか!?」
「ひぎゃぁぁ変態、近寄らないでくださいましっ!」
「落ち着いてください、執事のジェフですよ!」
「って、なんだジェフかぁ」
ビ、ビックリした。
いきなり変態が乗り込んで来たのかと思った。
「ごめんなさい、少々取り乱しましたわ」
「お、お嬢様が謝罪……んな馬鹿なッ!」
「え?」
あ、そうだったわ。記憶を取り戻す前のヴィオレッドは謝罪なんてしない。
そういう傲慢な子でした。
ま、まあ、その辺はご愛敬ということで……。
しかし困った、困った。
ジェフでも取り乱すってことは、マジでもう男ってだけで身内以外は信用できない。近くに異性がいるのを想像するだけで、犯されるんじゃないかって、ぞわぞわと身体が強張る。
もし原作のルート通り進んだら、いずれわたしは断罪されて失楽園のような生活をおくることになるだろう。
そんなのは死んでも受け入れられない。
尊厳を守るためにも……シナリオをぶっ壊す力が欲しい。
そう、受け身で待ってちゃダメ。
むしろ、こちらから襲ってくる男共の〇玉をひねりつぶしてやるくらいの気概がないと。
この瞬間、わたしの中で弱肉強食の荒野をサバイブする運命が確定した。
「ジェフ、わたくしは死ぬ気で努力して強くなりますわ!」
「努力!?あの食い意地しか能がないお嬢様が!?」
「ええ! 頑張りますわよ、ぜひ応援してくださいまし!」
そして、もう一つの方針!
メインキャラ達には絶っっっ対に関わらないこと。
原作のヴィオレッドは、ウザいだけの小物キャラ。物語の重要度は低いし、わたしが何もしなくても、主人公たちが勝手に真実の愛とかに目覚めて王国を救ってくれるだろう。
魂が小市民のわたしには、王国を救うとかはあまりにも問題が壮大すぎる。
まず、第一に考えるべきは、己の貞操を守ること!
よって、導き出されたわたしが目指すべきポジションは、最強のモブ!
目立たず、いざとなれば自分の貞操を守れる強い女。
大丈夫。この明晰な頭脳の中には原作知識が詰まってる。最後までチョコたっぷりのト〇ポのようにね!
そして、どうせならこの世界を思う存分楽しもうじゃないか!
野蛮な男を遠ざけ平穏なモブライフをおくりつつも、女の子とはウフフキャッキャとしたい。
(友達100人くらいできたらいいなぁ)
さて、まずは魔術の訓練!
ヴィオレッドのスペックはネームドキャラの中ではぱっとしないけど、平気、平気、砂場の泥だんごも磨けば光るんだし、いけるっしょ!
……そのためには
(とりあえず彼女を探すところからね!)




