表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/16

【第14章】コネクション成立

 翌日。今日、反応がなければチームはいったん撤収して、Plan-Bを検討することになる。

 亜紀は諒一をつかまえた。


「川合さん、提案があります」

「日本政府から何か言ってきていますか?」

「いえ。私の考えです。彼らに向かって話しかけてはどうでしょうか」

「人類AIを理解したなら、彼の方から反応があると思っているのですが」

「学習させたデータは、日本語のデータですよね。日本人の癖も一緒に学習したとは思えませんか」


 そうか。諒一はハッとした。あいまいで、シャイ。奥ゆかしさや、本音と建前の両面性。表層的な言語や知識の奥に流れる、コミュニケーション特性も人類AIは学習したことだろう。そして、それを彼らが完璧に理解したとしたら。

「恥ずかしがり屋のエイリアンは、人間が話しかけてくるのを待っている、ということか」

「はい」


 お互いが空気を読んで沈黙しているのか。技術者としての自分では気が付かなかったかもしれないな。


 諒一は監視所のコンソールを立ち上げ、LX1の足元でスタンバイするドローンのスピーカーにマイクをつないだ。


「さて。最初の一言は・・・」

「私がやります」亜紀が手を挙げた。

「それは私の、外交官としての仕事です」


 亜紀は深呼吸をすると、汗ばんだ手でマイクを握りしめた。人類の運命がかかっている。いや、でも目の前にいるのは、きっとシャイで話しかけられるのを待っている「友人」だ・・・


「こんにちは。Artifact Alpha、そしてLander X1。聞こえますか」

 亜紀は、日本語で語りかけた。日本語のメッセージが異国の街の静寂を破った。

「私たちはあなたたちが準備できていると思っています。人類AIは、私たちの言葉であり、私たちの心そのものです。私たちは、あなたたちと話したい、お互いを理解したいと思っています。私たちの言葉が届いていたら、合図してください」


 その時、LX1が放つ赤い光がちらついた。

「パターン、解析しろ」ビデオ映像が解析に回された。


 亜紀は話し続けた。

「このAIを作った川合諒一さんは、私、私たちにとって大切な人です。諒一さんにとって大事なイベッタさんは、最初に光でコミュニケーションを試みた人です。イベッタさんにとって大切な絵里は、私の親友です。あなたたちも、私たちの誰かにとっての大切なひとになってほしい」


 メッセージは続いた。

「だから、答えてください」


 ビデオ画像を解析していたチームから結果が知らされた。

「光信号の変調は、可聴域のAMです」

「そのまま音声復調、スピーカーへつなげ!」

 スイッチが切り替えられ、光信号が音声に変換されて監視所に流れた。


「コンニチハ、ハジメマシテ。ワタシタチノコト、ワカリマスカ」


 それは穏やかな、そして優しさを感じさせる透き通った日本語の音声だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ