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20 ロリコンは……死すべしよね?

 私は顔をしかめて声をあげた。その言葉にミポルが不思議そうに聞いてきた。


「気持ち悪いっていうけど、カミーラが可愛いから、そういう気になる男は多いと思うんだけど?」

「今ならまだわかるよ。でもね、十三歳の時の私に欲情するって、ロリコンじゃない。胸もお尻もぺったんこだったのよ。ロリコンは死すべきだわ」


 そうなのよ。学院に来た当時の私はチビ……ではなかったけど、お貴族様なんかと比べると痩せていて、二次性徴なんてまだまだって体型をしていたのよ。これはレニーもそうだったわね。


 まあねえ、辺境の村で育ったと言ったでしょう。食事に困ることはなかったけど、王都みたいに甘いお菓子なんかがあるわけじゃなかったのよ。甘味といったら、果物ぐらい。たまに蜂蜜をもらえたり、誰かのお土産でお菓子をもらうくらいだったから、太ることはできなかったの。


 そんな状態の私と子供が出来るような行為をしようだなんて、ロリコン以外の何物でもないわよね。そうして二次性徴が始まると「私が求めたものと違う」とか言って、捨てるんだわ。本当、ロリコンなんかいなくなればいいのに!


 ◇-◇


「プッ、クックッ……確かにそうだね。でもさ、そこのバカがそんなことをしようとしたのは、国王の命令だったからだよ」


 ミポルが笑いながら私に言った。私は冷たい視線を国王に向けた。国王は……青い顔で机を見つめていた。汗が顔を流れ落ちて、机に水たまりを作り始めている。……ハンカチ位持っていないのかしら。みっともないから顔を拭いて欲しいわ。


「まあとにかく、こいつらは自分の思い込みで、カミーラとレニーのことを不細工だと思ってくれたから、手を出そうと考えなくなったんだよ。国王はどうしてもカミーラを手に入れたかったようだから、バカに早く手籠めにしろと再三言っていたみたいだけどねえ」


 ミポルが意地の悪い笑みを浮かべて国王のことを見た。国王は机の一点を見つめて、言葉を発しようとはしなかった。……やはり先ほどで懲りたのかしら? あの圧はすごいようだったものね。


「それでも、不細工だと思っている奴に手を出したくはなかったんだろう。でも、二人の顔を見るたびに罵詈雑言を言うのはいただけないよな。お前たちに姿は見えなかったかもしれないけど、ボクとスラミーはずっとカミーラとレイニーのそばに居たんだ。お前たちが言ったことやしてきたことは、すべて見ていたからな。言い逃れは出来ないぞ」


 三バカはおとなしく首を竦ませて、縮こまっていた。


「それじゃあ、次。う~んと、どっちからにしようかな~。そうだな、まずは学院のほうからいくかな~。学院は地に落ちたよね~。昔は優秀な人材を輩出するところだったはずなのに~。成績を不当に上乗せするようにしているなんてね~」

「お、お待ちください、ミポル様。まさか、我が学院の教師に不正を働いているものがいるのですか」


 正妃様の後ろの席に座っていた学院長が、顔色を変えて立ち上がった。


「あ~、やっぱり学院長は知らなかったか~。そうなんだよ~。まあ、やり方としては単純なんだけどさ~。テストに出す問題を、先に成績を上位にしたい相手に、宿題として出しておくんだよ~。まあ、それでも、なんの小細工をしてない、カミーラとレイニーに適わないってどうなんだろうねえ~」


 ミポルの言葉に、学院長の二列後ろに座った数名が、青い顔をしだした。学院長は後ろを向いて……たぶん睨みつけたのだろう。青い顔をした数名が肩を震わせるのが見えたから。でも、すぐに学院長は前を向いた。


「ミポル様、お聞きしてもよろしいでしょうか。不正は一部の生徒にテスト問題を先に宿題に紛れ込ませただけでしょうか」

「いや、もちろんそれだけじゃないよ~。まずは最初に、カミーラたちが編入してすぐのテストで、カミーラとレイニーの答案を改ざんしようとしたんだから~。だからその時に、少~しお仕置きをしたよ~。それで、二人の回答をそのままにするしかないから、バカたちの答案を改ざんして点数を上げていたんだな~。次の時にはバカたちを呼んで、バカたちにもわからないように誘導して答えを書かせていたよ~。それを実際のテストに転写して、もともと書いてあったように見せかけていたんだ~。流石にこれを三回続けたら、他の生徒も訝しんできたから、宿題に紛れ込ませる方式に変えたようだよ~」


 学院長は机の上に置いた手を握り、振るわせている。……これで、やっと疑問が解けたわ。私達にはテストの範囲しか教えてくれなかったのよね。それだけでなく、たまにテスト範囲から外れた問題を出すことがあったのよ。きっとこれは三バカが答えられるものだったのでしょうね。実際にみんなと同じ条件だったら、三バカはもっと下位の順位になることでしょう。


「ということで、カミーラたちには実害はなかったけど~、ボクの気分はすこぶる悪くなったんだよね~。彼らもあいつと同じにしてもいいかな~」


 学院長に向かって、明るく問いかける形にしているけど、実際は実行すると言っているよね。……私達に実害はなかったと、ミポルは思っていないじゃない。その目が物語っているもの。


 学院長が頷くのを見て、青い顔をした教師たちは「ひっ」と短く悲鳴をあげた。中には立ち上がってこの部屋から逃げ出そうとした人もいた。その彼ら五名をミポルは風を操ってバルコニーの外へと出した。


「では~、続けて~、学院の魔道具制作担当教師と~、魔法省の長官にいってみようか~」


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