前へ目次 次へ 40/100 釘 佐伯(さいき)淡(あわ)は家のなかを歩いていた。 彼女は時折屈みこみ、釘を拾った。頭が小さく、とても短いものだ。 彼女はそれを口へ含んだ。釘は沢山落ちていて、彼女はそれを拾い続け、釘は手の上で山になっていった。淡はそのうちの四本だけ口へいれた。 はっと目を覚まし、淡は手で残った釘の感触、口に残る鉄の味に顔をしかめた。妙な夢を見た。 布団の上で体を起こし、淡は尚更に顔をしかめた。彼女は口のなかに手をいれると、奥歯にはさまった釘をひっぱりだす。 小さな釘は、全部で四本あった。