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ピリオドを打つものの物語はこれからも続いていく

 情報制限などの心配が今のところないからと、キミコとは週に何度かネットで連絡を取っている。

 モニタ越しに見えるキミコは、今日も今日とてしかめ面だった。



「つーかさ、まだ出版社からのGOサインないん?」


 営業目的のブックフェスで作品を知ったのならば、もっと早い返事があっただろう。

 だが、ただÐ国での需要が高まっているだけのことでの翻訳。

 すでに英訳があるにはあるのだから、新作が出ないし作者が行方不明の現況では保留になるのは仕方がない。



「それでも、諦めんとおるで。英訳が古書でしか手に入らん作品で、私には思い出深いものも持ち掛けてみてるし」


「ハル、やるやん! あんたはおかあちゃんの自慢の子やで!」


「いやいや、生んでもらった覚えもないし、そもそもそんな関係ちゃうしな」


「そないに照れて~! 昔は可愛いかったのに……思春期かしら」


「どこの親戚の人や」


「え? キミコですけど」


 会話はあっちこっちにといって、収拾がつかなくなる。

 それでもこんなにも楽しめるのはやはりキミコだからか。比べようもない、でも最上の友。


「ようやく、帰国して更新したあんたのブログを解読しました。美化しすぎやない?」


 笑いが収まったタイミングでキミコは真面目に切り出してきた。


「読んだん?」


 驚きと嬉しさ。友だちがわざわざネット辞書を駆使して読んでくれたという最高のサプライズ。


「うん。拾い読みは今までしてたけど、『雨』やったから」


「ありがとう。でも、私から見たキミコの断片はあれやよ」


「惚れたわ……悔しい」


 それだけ言うと無言のまま、チャット機能で「ちょっと風呂」とだけ残して落ちた。


 深く考えないべきだと判じつつも、気になった。けれど、追及するのはキミコの性格が許さないから私はいつかを待つ。


 増えた画像フォルダの整理をしているとメールのサインが点る。

 大きなさざ波の予感がした。祖母がガハハハッと笑っているような気がしたから。




これにて“了”でございます。

今後、違った物語が続く可能性もございますが、ハルが悩んだひとつは区切りを得ました。


お読み頂きました方々に御礼申し上げます。評価いただきました方々に、ここで再び感謝をお伝えさせていただきます!ありがとうございます!

一旦、休息を取らせていただきまして、改稿をしたりしようかと思っております。再読していただきましたら、幸いです。



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