八話
お久しぶりです。
なんかもう久々すぎて主人公のキャラ崩壊してるかもしれません。(注意です)
それではどうぞー。
こんにちは、西園寺美夜子です。
私は今、ショッピングモールの駄菓子屋の前に居ます。
金持ちの娘が何故そんなところに居るのかって?
事の始まりは、私が学園から帰った後。
夕御飯を食べた後に壁に埋め込まれた大画面のテレビを点けた時、そのチャンネルは「はじめて○おつかいスペシャル」をやっていたのだ。
気分は完全に母親の気分。
外見ではぼーっと見てるようにしか見えない感じだが、内心ではうぉおお頑張ってぇええええとハラハラとしていたのだ。
そして終わりでの親との感動の再会では涙が出そうになるのを必死に堪えていた。
番組が終わった直後、この後に駄菓子屋特集があると聞いた瞬間に思い付いた。
そうだ、おつかい(駄菓子屋)に行こう。
早速お父様におつかいに行きたい!と願い出た。
当然だけど柔らか~く反対された。特にお兄様には大反対された。
だがしかし!必殺の涙目上目遣いでOK出して貰ったぜ。ふっ。
……お父様、SPの方にビデオカメラ用意命令は止めてくれませんかね。
知ってるんですよ?貴方のお部屋に私の日常DVDがあることを……しかも学園のものまであったし。
多分『影』の者がやったんだと思うんだけど、恥ずかしいどころじゃないので止めて頂きたい。
え、何でそんなこと知ってるのかって?
…………前世の経験の賜物って事だけ言っておこう。
さてやってきましたよショッピングモールに!
主なミッションは昨日予約したフラワーアレンジメントとケーキの受け取り。そして私的なミッションは駄菓子屋だ。
花屋は一階の右奥で、ケーキ屋は地下。
駄菓子菓子、私の目的は三階にあるんだぜ……。どうしよう。
何故私が悩んでいるのか、それは私の10m程左後ろと、右斜め後ろ8mと、左斜め前6m程にある柱の影に、西園寺家のSPさんが居るんですよ……。そこ、チラチラと見えてるんだよ黒いのが。
まあ、お父様に言われるまで指示は出されることはないと思うけど。
だって、SPの左手にはビデオカメラ(高級)があったし、ね……。
取り敢えず、行くにはエスカレーターかエレベーター、どちらか。
まあどっちかっていうとエスカレーターだよね。エレベーター選んだらSPさんも大変だろうし。
……よし。
三階に行くか。
え、そこは諦めるんじゃないのかって?
諦めるわけねぇだろうが馬鹿野郎っ!
おっと失礼。つい心の中で言ったことが。
いや三階にね?ちょっと気になるところがあったわけなんですよお客さん。
そう、アクセサリーショップが。
しかもチラシによると、素材は自分で選んで後は作ってくれるというサービスまであったわけですよ!行かないわけないでしょう!!
というわけで、家族分のアクセサリー頼んできたよ。自費で。
え、お金? 株で儲け……コホン。 銀行から引き出したんだよ。
お兄様にはラピスラズリを基本としたストーンブレスレットに、三日月型のシルバーアクセサリー。
お母様には小さなクリスタルパールを基本をした繊細なピンクゴールドのブレスレットに、薔薇型の同じくピンクゴールドのアクセサリー。
お父様にはオニキスを基本としたストーンブレスレットに、リーフ型のシルバーアクセサリー。
そして私はローズストーンとアメジストを基本とした天然石が入ったストーンブレスレットに、桜型のピンクゴールドのアクセサリーを入れました。
ちゃんと家族皆に合う色を考えて選んだよ?
出来上がるのは1時間程だそうで。
じゃあそれの時間潰し……ってことで何かないかな~っていうフリをしながら駄菓子屋へ突入だ!!
いや~満足満足。 昔懐かしの駄菓子を10個程収穫したぜ。
それでも30分程居座っちゃったけどな。
あと30分か。どうしようかな、この間にケーキとか回収しに行っても良いけど、行ったり来たりするのも面倒臭いな~……と、思っていると。
目の端で小さな女の子を見つけたのだが、不安そうで周りを見回しているのを見るとどうやら迷子みたいだ。
可愛い女の子から目を離して何をやっているんだ……と誰にともなく悪態を吐きながらその子に近付いた。
「ねえ、大丈夫?」
「っ!?」
ビクッと肩を震わせながらもこちらを振り向いてくれた。
髪は明るい茶色でショートボブ、瞳の色は茶色、というより黄色、金色に近い。
目はくりくりとリスのように大きく、細い眉、薄いピンク色をしたプルプルの唇。
肌は少しだけ日焼けしていたが、子供特有のスベスベとした肌。
服はフリルのついた可愛いオレンジ色のワンピースだ。
何この超可愛い生き物。
ヤバい変態になりそうだぜ、とか思いながらも見かけは平静に話しかける。
「貴方、迷子?」
「え、あ」
「ん?」
「……うん」
「じゃあお母さんどっか行っちゃった?」
「…………んーん、さっき、までは、ひろくんと、いっしょだった」
「お母さんはお買い物でいっしょじゃないの?」
「さいしょは、いっしょだったけど、お母さんがおかいもの、行くまえに、ひろくんが、たんけんしようって……」
「ひろくんは弟?」
「んーん、おとなりさんの、おうちのこ」
ふむ、つまりご近所付き合いで一緒に買い物に来たけどそのひろくんが好奇心で探検しようってなって、この子は一緒に付いてきたけど途中で逸れてしまった、と。
にしてもさっきから可愛いなこの子。喋り方も可愛いし、可愛い上に可愛いしで、天使だわ。あれ可愛いしか言ってないな。まぁ実際可愛いし。
喋っているうちに段々と泣き出しそうになってきて、焦った私はさっき買った駄菓子の飴をその子の口に入れた。
驚いた様子だったけど、涙は止まったようだ。良かった。
「おいしい?」
「……うん」
おお、漸く笑ってくれた。ってか泣き顔も可愛かったけどやっぱ笑顔が一番可愛いな。連れて帰りたいわ。
じゃなくて。
「それじゃあ、ひろくん探そっか」
「…? 良いの?」
「うん。 はい、手繋ぎましょ」
その年で遠慮なんかしなくていーから!寧ろ自ら手伝うわ!
手を差し出すと、おずおずと握ってきた。小さいしプニプニして可愛い。離さないように握るとしよう。
マジで可愛いわー。私が犯罪者になりそうだわー。
って、そういえば肝心な事聞いてなかった。
「そういえば自己紹介してなかったわね。貴女のお名前は?」
「ふさか みさき、5さいです」
「そうなんだ、みさきちゃん5歳なんだ、じゃあ私の一個下ね……」
………うん??
ふさか、みさき?
…………………あれぇ??
………………………………………………。
主人公、きみ、何故ここに居るんだい?(困惑)
誤字・脱字がありましたら教えてくださると嬉しいです。
ありがとうございました!