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Free City  作者: 七賀ごふん
Settle

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79/82

#7



彼の素直なところが羨ましい。褒めたら嬉しそうに笑う。軽くでも注意したら落ち込む。

そういう子は大体周りに愛されてきた子だ。けど何故か彼はそう見えなかった。常になにか欲し、渇望している。愛されたいという想いを誰かに向け、最大音量で発信している。

なりふり構わず泣き叫んでる。……赤ん坊みたいだ。

それに気付いているのは自分だけかもしれない。

でも、それでいい。いつか泣き止ませてみせる。


自由になりたかった俺は、いつしか彼を目で追うようになった。

塗り固めていた虚像はとっくの昔に打ち砕かれていたらしい。足元にはバラバラになった過去の自分の破片。残ったのは、自分も知らなかった本当の顔。本当の想い。

人を知りたいと思った。好きな人を知る為なら不自由になっていい。パソコンの前に立って、久しぶりにあの世界へ脚を踏み入れた。


黒い空にまたたく、赤や青の星。目が悪い自分でもはっきりと視認できる光。愛と憎しみで象られた、誰かの為の街。

ここへ来たのは二度目だ。一度目は成功したものの、想い人も“本当に”繋がりたい人もいなかったから、解析だけして早々に退散した。

だけど今は─────。

画面から目を離さないよう注意しながら、必要な情報を入力した。失敗したら、死んだも同然だ。

成功……しても、本当に彼が自分と一緒にいてくれる保証はない。むしろ何らかの自由を失うなら百害あって一利なしの挑戦。賭けですらない。


それでも手を出してしまったのは、彼に近付く方法がこれしかなかったから。

いつだって触れる一センチで戸惑ってしまう。この関係も彼自身も、粉々に壊れてしまう気がする。それが何よりも恐ろしい。生まれて初めての感情だった。

神様の家から抜けるとき、人影が無数に見えた。その中に亡くなった父がいた。彼は笑っていた。


死ぬのか、不幸になるのか……。

シャットダウンし、天井を仰いでも現実味が湧かなかった。廃人にはなってない。気は確かだ。成功、した。


噂通りなら、きっともうすぐ“自由”を失う。

俺の想う自由は、やっぱり生きる気力そのものだ。生きたいという想いがなくなったら、手足を失ったのと同じ。身動きができなくて苦しい。

不幸を自ら願う。それだけはしたくない。


時間を気にしながら、あの黒い画面を開いた。




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