Ⅲ:戦場に翻る8大国の軍旗〝バナー〟 ―自由連合軍集結―
「皆のもの! アレを見よ!」
カリナが剣先で示す先、遥か彼方の稜線の向こうに翻った色を見た。
白に金、灰青に白銀、緑と黄金、深青、紅褐、漆黒に銀、紫紺、そして、赤と緑――。
その色は希望から確信に変わる。勝利の確信へと――
「おお!」
「全軍、来るぞ!」
「あれは8大国の軍旗だ!」
次の瞬間、山の峰を越えて、谷間を抜けて、草原を疾駆して、河川を渡河して――
複数の進軍路から、8大国の軍旗が一斉に戦場へ躍り出た。
白地に黄金の輝きを宿すルミナリア王室聖騎士団ルミナス・ガーダー。
灰青の地に白銀の峰を刻んだモントクラウド山岳連邦軍。
緑と黄金の穂を掲げるグレインリーフ王国国防兵軍。
深青に銀波を走らせるアクアリス国防海兵軍。
紅褐の旗を疾風のごとくなびかせるガルガンダイン騎馬騎士団。
漆黒に銀の紋章を掲げたヴァルハイト正騎士団。
紫紺の旗布に魔法紋を輝かせるエーテルノヴァ国家近衛軍。
そして、赤と緑で常緑の大地を示すのが、祖国再興の執念をその一旒に託したネルガル解放義勇軍だ
カリナはエルリックに問うた。
「エルリック! これで総戦力数は?!」
「致命的な損失が無いと考慮するなら最低でも、現状総数は1万5000以上! しかし、有力な攻撃手段は失われていない模様だ!」
「敵の守備隊を超えるわね?」
「少なくとも今、城の外に出ている連中に対してならな」
「よし!」
カリナは手を振り上げて魔導通信兵を呼び寄る。
「仔細伺います!」
「よし! 全力を持って、魔王城外部に躍り出た敵守備隊を撃滅せよと全軍通達!」
「はっ!」
各軍団の指揮官や主要人物に向けて方針を伝達する。
――シャッ!――
さらに、聖剣レギオンブレイドを抜くと、エリュシオに呼びかける。
「エリュシオ! 〝啓示〟の力で私の声を届けて!」
『承知しました。カリナ様のお声をソルスター自由連合軍全域に伝えます』
そして、頭上高くレギオンブレイドを掲げれば、その剣先から金色の波動を送り始めカリナは力強く叫んだ。
「傾注!」
その声にソルスター自由連合軍全員が一斉に動きを止める。大規模に大軍が山津波のように押し寄せていたのが、時が止まったかのように静止したのだ。
「今こそ! 我らの策は成った! 長い踏破の道を越えてかかる決戦の地に我らは再び集った! 慣れば我らが無すべきことは一つ!」
声が遥か遠くまで響き残響を残す。混乱の極みにあった魔王城守備部隊からは、ざわめきは聞こえるものの反撃のための再統率はまだ見えてこない。
ならばこそだ。カリナは叫ぶ。
「魔王城を灰燼と化し! 魔の軍勢の兵卒を最後の一人に至るまで撃ち倒し! かかるこの大地を魔の者たちに蹂躙される前の清浄なる大地に還すののだ!」
頭上に突き上げた聖剣レギオンブレイドを前方に向けて一斉に振り下ろす。
「撃滅せよ!」
「おおおおおおおっ!」
今まさに8大国と、10の種族の軍勢は一つに集い、総力をかけて戦いはじめたのである。
魔王城への道には、なお強大な敵が立ちはだかります。
カリナたちがこの戦いをどう越えていくのか、引き続き見守っていただけましたら嬉しいです。
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