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モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第三章 モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!

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94 モニカの婚約者5


「コミカルなお芝居は初めてだったのですが、とても楽しかったです。リアマ卿があのようなお芝居をご存知とは意外でした」

「仕事のあとの息抜きとしては、最高ですよ。女性受けは悪いかと心配していたのですが、楽しんでいただけて良かったです」


 彼は、デート先にはかなり気を遣っているように見える。

 婚約を望んでいないモニカの負担にならないようにしているのか、デートらしいムードがある場所へは決して連れて行かない。

 友人として気軽に楽しめるような場所ばかりだった。


「次回はどこへ行きましょうか。モニカ嬢は行きたい場所などありますか?」

「あの……。そろそろお互いのことは、十分に知れたと思うのですが……」


 このような関係をずるずると続けるわけにもいかない。

 モニカは思い切って、そう打ち明けてみた。するとイサークは、一瞬だけ表情を曇らせたが、すぐにいつもの感じの良い雰囲気に戻る。


「返事は急ぎません。モニカ嬢はまだ学生ですし、卒業してから考えてくださっても構いませんよ」

「そこまでお待たせするわけには……」


 ここまで彼を知ってしまうと、もう悪役ではない気がしてならない。そんな相手に強くも言いにくい。

 遠慮がちに否定するモニカを、イサークはじっと見つめた。


「私では、ときめきませんか?」

「リアマ卿はとても素敵な方だと思います。私よりももっと素敵なご令嬢がお似合いだと思いまして……」


 そう、疑問はそこだ。ルカとの関係依然になぜ、モニカなのか。

 彼のような完璧な人なら、もっと良い家のご令嬢と結婚できるのに。


(そもそもモブ顔の私に一目惚れするなんて……)


 そこまで考えたモニカは、ふとあることに気がついた。


(ミランダ嬢から、イサークが私を調べていると聞かされたのは、私の完全モブが解除された次の日よ。それならイサークはいつごろ、私を調べていたの?)


 その前に彼と会ったのは、王宮での一度きり。あの時のイサークは、ブラウリオたちに責められていたので、モニカに目を向ける暇などなかったはず。

 その後に、ルカの弱点を探ろうとしてモニカの存在に気がついたのだろうか。

 どちらにせよ、純粋な気持ちでないことは、これで確認できた。


「モニカ嬢。何かに気がつかれたご様子ですね」


 イサークの声にモニカはびくりと肩を震わせた。


「ですが、もう遅いです。あなたは私と結婚する運命なんですよ」

「なぜですか……」


 彼の策にハマったりなどはしていないはず。なぜ結婚を強制されるのか。

 困惑するモニカを見て、イサークは勝ち誇ったような笑みを浮かべる。


「本当は聖女なのでしょう? しかも、今の聖女よりも有能な」


(なぜイサークが私の力を知っているの……)


 しかもリアナと比較するような発言。それを確認できた場面など、一度しかないはず。

 一年生の時のハイキングで、魔獣に襲われたあの一度きり。


「あの場にいたんですか? まさか、あの魔獣はあなたが……」

「誤解しないでください。私があの魔獣を召喚していたら、精霊から罰を受けて今頃はこの世にいませんよ。ただ偶然に見かけただけです。驚きましたよ。助けに出ようとしたら、モニカ嬢が浄化魔法を使ったのですから」


 皆の記憶からは消したはずの出来事を、イサークが覚えていることに、モニカは寒気を感じた。


 記憶を消すには一箇所に人を集める必要があり、あの時のルーは全員が集まっていないと指摘していた。


(先生のことかと思っていたけれど、もっと詳しく聞いておくべきだったわ……)


「……公表するつもりですか?」

「あなたの返答次第では」

「お願いします! それだけはやめてください!」


 このタイミングでモニカが聖女だと公表されてしまえば、あとから女神だと訂正するのは難しくなる。女神と聖女の差を明確に示すのは難しいから。

 そうなれば最悪の場合、聖女としての能力が育っていないリアナは、聖女ではなかったと思われるかもしれない。


 聖女さえいれば、ゲームとしてはハッピーエンドを迎えられるかもしれないけれど、リアナとブラウリオの結婚が白紙になる可能性もある。

 ブラウリオが隣国王女と婚約破棄できたのは、新たな相手が聖女だったからだ。


「それなら、答えは一つですね」


 にこりと微笑まれて、モニカは悔しさをにじませながらイサークを睨んだ。


「……なぜこんなことをするんですか? 聖女だと公表しないなら、私と結婚するメリットなどないでしょう?」

「ありますよ。ルカがこの世でもっとも大切にしているのがモニカ嬢、あなたです。そのあなたを手に入れられたら、ルカに勝ったことになると思いませんか」


 ただルカに勝ちたいがために、結婚まで道具に使うとは。

 この人は、反省するなどという言葉は、初めから知らない。手の差し伸べようがない正真正銘のクズだ。


「あなたは最低な人です!」

「まだ立場がお分かりではないようですね。ルカなんて所詮は、私の手のひらの上で転がされる運命なんです。どちらの選択が賢明が、よく考えてください」




 翌日。モニカは昨日のことを、カリストに相談しなければいけないと思いながら学園へと到着し、カリストの研究室がある研究棟へと向かおうとしていた。

 その時、「モニカ!」と叫ぶ声が。


 こんな時でも、推しの声を聞けると気分が一気に晴れ渡る。モニカはにこりと微笑みながら振り返った。


「ルカ様、おはようございます――」


 しかし、推しはなぜか怒り顔で、モニカへ向かってずかずかと歩いてくる。


「モニカ! どーゆーことだよ!」

「えっ?」

「なんでイサークなんだよ! 俺は絶対に認めねーからな!」

「あの、なんのっ」

「よりによってなんであいつなんだよ! 俺はあいつなんかに譲るためにモニカを諦めたんじゃねーんだよ!」


(イサークから、求婚の話を聞いたの……?)


 彼はモニカの声など聞こえていないかのような、ものすごい迫力。

 このままでは目立ってしまい、彼が作り上げてきた時期公爵としてのイメージが台無しになってしまう。


「ルカ様、移動しましょう。こちらは目立ちますから……」

「モニカはあいつが気に入ったのかよ! 俺よりあいつを……」

「ルカ様誤解です!」


(どうしよう。これは、イサークの警告だわ……。ルカ様の心をいくらでも操作できるという……)


 昨日は、「最低」などと言わなければ良かった。主導権は今、イサークにあるのだ。


「朝から騒がしいな。二人とも、こちらへ来い」

「先生」


 突然現れたカリストは、風魔法でルカを浮き上がらせると、強制的に研究棟へと向かって移動を始める。

 少し乱暴なやり方ではあるが、モニカではどうしようもなかった。

 カリストに感謝しながらモニカは、二人の後を追った。


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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