表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第二章 女神の力をこっそり使いつつ乙女ゲームを支えるつもりが、ヒロインがバッドエンドまっしぐらなのですが

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/143

65 リアナのお見舞い5


「わかった。様子を見てこよう」

「ありがとうございますビエント卿! 女神様の祝福があらんことを」





「先生……。リアナちゃんの様子は……?」


 想定よりもずっと早く戻って来たカリストを迎えながら、モニカは不安な気持ちを抱えながら尋ねた。この様子では、リアナに会えたとは思えない。面会を断られたのだろうか。


「まだ時間は大丈夫か?」

「はい。大丈夫ですけど……」

「それなら今から王宮へ向かおう。聖女はブラウリオのところで休んでいるらしい」


(やっぱり……。悪い方向にばかり予想が当たるわ……)


 カリストは馬車へと乗り込むと、小窓から御者に行き先を伝えた。その様子を見守ってからモニカは「よろしくお願いします……」と頭をさげた。


「驚かないんだな。これもゲームのストーリーどおりなのか?」

「このゲームは、ヒロインの選択肢によってストーリーが変化しますので、想定される未来の一つになります」


 この世界のゲームといえば、チェスかカードゲームか、スポーツばかり。乙女ゲームを説明するのは難しかったが、小説の途中でセリフを選ぶことができ、そのセリフによってキャラの感情が変化すると説明している。


「そうか」


 カリストはその説明だけで納得した様子だ。


「あの……。先生は、ストーリーを詳しく知りたいとは思わないんですか?」


 モニカはその都度、必要な情報はカリストに伝えているが、カリストはその情報を受け取るだけで、これから起こる未来を聞こうとはしない。普通は気になるものではないだろうか。


「モニカは、その知識を利用して事前に危険を排除しようとしているが、俺までその先入観を持って行動するのは危険だろう? 俺は知りすぎないほうが、モニカの知識では足りない部分を補えると思うんだ」


(先生はそこまで考えてくれていたのね)


 確かにこのゲームは、彼らの人生の全てが語られているわけではないので、モニカが知らない部分も多い。それを先入観なく判断できるカリストの存在は非常にありがたい。


「頼りにしてます先生」

「ああ。いくらでも頼れ」


(ふふ。先生はいつもこう言ってくれるわね)


 モニカが女神だと打ち明け、カリストが支えてくれると言ってくれた日から、カリストの態度は明らかに変わった。まるでゲームの中の守護者のように。


 カリストも攻略対象の一人。リアナの守護者になるつもりはなかった彼だが、モニカの守護者になることは望んだ。

 それは彼らが潜在的に、守護者となることを求めているからなのだろうか。

 守護者になることは、彼らにとっては聖女へ向ける最大の愛情表現。聖女にとって特別でありたい。聖女を一生かけて守り、傍にいたいという感情の表れだ。


 そういった役割である守護者に、なりたいと言ったカリストは――


 そこまで考えたモニカは急に顔が熱くなり出した。


「モニカ、顔の体温があがってきな。熱でもあるのか?」

「いえっ。その……っ」


 考えを見透かされたような気がしてモニカが動揺している間にも、カリストは向かい側の席から立ち上がりながら、モニカの額へと手を伸ばした。


(また……。先生には精霊の目でわかるはずなのに)


 前にもこのようなスキンシップがあった。その時にもモニカは、カリストの恋愛ルートに入ったのではと心配していたが。二度も同じ考えに陥るとは。


(先生は本当に……)


 そう思った瞬間。馬車が、がたりと大きく揺れた。

 「きゃっ……」と悲鳴をあげかけたモニカだが、不思議と衝撃はやってこなかった。

 ゆっくりと目を開けてみると、至近距離にカリストの顔が。

 モニカの後頭部は彼の手によって保護されており、身体全体もふわっと風に包まれているような感覚だ。


(あ……。先生が魔法で衝撃から守ってくれたんだわ)


「大丈夫か? モニカ」


 これほど大切に扱われたら、意識せずにはいられない。


「鼓動も早くなっているな。大丈夫、道が悪かっただけだ」


 そして、モニカの体調の変化を詳細に把握できるのに、見当はずれな心配をしていることが少しだけ悔しい。

 モニカがどう感じているかなど、少しも意識していないのだろう。


「せ……先生。近いです……」

「あっ、悪い……」


 席へと座り直したカリストは、さすがにこの状況を察したのか、耳を赤くしながらモニカから視線をそらした。

 モニカも気まずくて窓に視線を向けたが、よりによって同じ方向を向いてしまったために、窓ガラスに映るカリストと目があって、さらに気まずさがます。


(今はこんなこと意識している場合ではないのに……)


 モニカはため息をつきながら、下を向いた。





 王宮へと到着して馬車が止まると、警備の騎士が馬車へとやって来た。


「ようこそいらっしゃいました。本日は、どのようなご用件で」

「王太子殿下への謁見を申し込みたい」

「申し訳ございません。本日、王太子殿下は、どなたともお会いになりません」

「殿下とは個人的な友人だ。カリスト・ビエントが来たとだけでも伝えてくれないか」


 騎士は、馬車に刻まれているレナセール家の紋章を見つめ、首をかしげてから「……承知致しました。お待ちください」と言い残して王宮へと入って行った。


(うちの紋章がわからなかったんだわ……)


 伯爵家なのに、フエゴ公爵家に仕える家門なのに、父はフエゴ公爵の補佐官なのに、気がついてもらえなかったようだ。久しぶりに味わうモブの待遇……。


「知名度がない家門のため、お役に立てられず申し訳ありません……」

「うちも似たようなものだ」


(そういえば、先生と殿下ほど親しい間柄なら、騎士も先生を知っていても良さそうなのに)


 騎士は明らかに、不審者を見るような目つきだった。カリストが王宮を訪問することはあまりないようだ。


「騎士様は、ちゃんと伝えてくださるでしょうか……」

「大丈夫だ。これが駄目でも、他の方法で入れる」


 他の方法と聞いてモニカは即座に、普段のカリストを思い出した。


「まさか……。うちに来るみたく飛んで入るつもりですか?」

「いつもはそうしている。いちいち謁見の許可を取るのは面倒だからな」

「先生、自由すぎます……」


 だから騎士はカリストを知らなかったようだ。

 そのような訪問の仕方で済ませられていたとは、王宮の警備は大丈夫だろうか。

 余計な心配をしていると、しばらくしてブラウリオが王宮から出てきた。


「カリスト先生!」


 大好きなご主人様を見つけた子犬のような雰囲気で、ブラウリオが駆け寄ってくる。いつもどおりのブラウリオの様子に、モニカは少しほっとした。


「カリスト先生! 正式に訪問してくださるなんて嬉しいです!」

「たまにはな」

「ちょうど先生に飲んでいただきたいお茶が……」


 カリストが馬車から降りるのも待てないのか、矢継ぎ早に話しかけてくるブラウリオ。

 しかし、続いてカリストにエスコートされて馬車から降りてきたモニカを目に留めるなり、ぴたりと会話が止まる。


「王太子殿下へご挨拶申し上げます」

「あ…………モニカ嬢も一緒だったんだね。王宮だからって、堅苦しい挨拶はよしてよ。友達じゃないか」

「……ありがとうございます」


 あきらかにブラウリオのテンションが下がっている。全くもって、いつもどおりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

gf76jcqof7u814ab9i3wsa06n_8ux_tv_166_st7a.jpg

◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ