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モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第三章 モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!

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149 王宮での暮らし6


 皆が宮殿の中に足を踏み入れた途端、精霊たちがポンポンっと出現して、一斉に階段の手すりへと飛んでいく。


「わー! ひさしぶりー!」

「やっぱり、このてざわり!」

「数百年のときをへて、さらに、みがきがかってる!」

「やっぱ、このすべりだい、さいこうー!」


 ルカの精霊ルー、ミランダの精霊ミー、ロベルトの精霊ロー、ビアンカの精霊ビーが階段の手すりを滑って遊びだすと、ブラウリオの精霊リーが「これが、伝説の、すべりだい……!」と感動しているようだ。


(ふふ。皆、忘れていなかったみたいね)


 当時、この手すりを気に入った四人はいつもこれで遊んでいたが、まさかそれが伝説として語られていたほどとは、ちょっと面白い。


「あいつら、ここにきたことあんの?」


 ルカが不思議そうにモニカに尋ねてきた。ほかの皆も同じ疑問を抱いているようだ。


「皆様にはまだお話していませんでしたね。ルー、ミー、ロー、ビーは、かつての私と一緒に魔獣王を倒した仲間でして、四属性の精霊王なんです」

「マジかよ……あのルーが火属性の精霊王……?」

「ミーが精霊王だなんて、私の精霊にぴったりの称号ですわね」

「ローはああ見えて博識なのが、納得できました」

「精霊王とかよくわからないが、ビーはいいやつだ」


 精霊王と契約していた事実を知っても、四人はわりといつもどおりだ。それだけ精霊との絆も深まっているように見える。

 もともと精霊王たちはあのような雰囲気なので、とても親しみやすいということも大きそうだ。


 精霊は人間が大好きで、遊び好きで、社交的。そういうものだと思っていたが、例外も一応はありそう。

 モニカはカリストに視線を向ける。


「あの……。カリストの精霊さんは、皆様と一緒に遊ばないのですか? もう呪いも消えましたし、自由に行動できますよね?」


 カリストの精霊はこれまで、呪いのせいで目が見えないカリストの代わりに、目としての役割を果たしてきた。


 呪いが解ければ自由に行動すると思っていたが、いまだに姿を見せていないことが、少し気になっていた。

 精霊はもともと、主人以外には用事がなければ姿を見せないものではあるが、リーがモニカのサインを欲しがったように、女神には興味を示すと思っていた。


「一応、俺の目の中からは出てきたんだが……」


 カリストは歯切れが悪そうに説明してから、自身の胸ポケットの中を覗き込む。すると、黒い髪の毛の精霊がちょこっと頭を出して呟いた。


「女神さま、きらい」


 そしてすぐに頭を引っ込める。


「え………………?」


 驚きのあまりモニカは表情が固まる。

 カリストの精霊に嫌われているなど、考えもしていなかった。

 カリストの呪いを解いたのはモニカだ。感謝されるとまではいかなくとも、自由になれたことを喜ぶかと思っていた。


「カリスト~……」


 泣きそうな顔を彼に向けると、カリストは申し訳なさそうにモニカの頭をなでる。


「悪いな。モニカのせいではないよ。こいつは特殊で、暗い場所が好きなんだ。俺の目の中は呪いで暗いし風が渦巻いているような感覚で、心地よかったらしい」

「そうなんですね……」


 つまり極上の居場所をモニカが奪ってしまったようだ。

 理由を知っていたとしても、モニカに呪いを解かない選択肢はなかったので、こればかりは仕方ない。




「モニカ嬢。死にそうなお顔をしておりますけど、大丈夫ですの?」

「大丈夫です……」


 不思議そうに首をかしげるミランダに、モニカは精神衰弱でげっそりとしつつも答えた。


 今はミランダにバケットサンドの作り方を教えるために、二人で厨房にきた。リアナとビアンカも誘ってみたが、リアナはすでに作り方を知っているので遠慮し、ビアンカは料理が苦手らしい。


「精霊の発言なんて気まぐれですもの、いちいち気にしないほうがよろしいですわ」

「そうなんですけど、これから一緒に住む間柄ですし、できればなかよくしたいです……」


 カリストの両親――特に母親については、カリストの気持ちを尊重することにしたけれど、カリストが信頼している精霊とは良好な関係を保ちたい。


「精霊は単純ですから、お菓子で釣ってみるのはいかがです?」


(お菓子……。喜んでくれるかな?)


 精霊は単純に見えても、実はしっかりと考えをもっている。

 簡単には許してもらえないかもしれないけれど、こちらの誠意は少しでも伝わるかもしれない。


 それに、嫌われてもがんばるのが乙女ゲームだ。

 今日はカリストの精霊を攻略するつもりでがんばってみよう。

 

「居場所を奪ってしまったお詫びに、作ってみることにしますね。アドバイスありがとうございますミランダ嬢」


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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

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◆作者ページ◆

~短編~

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

溺愛?何それ美味しいの?と婚約者に聞いたところ、食べに連れて行ってもらえることになりました

~長編~

【完結済】「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります(約8万文字)

【完結済】悪役人生から逃れたいのに、ヒーローからの愛に阻まれています(約11万文字)

【完結済】脇役聖女の元に、推しの子供(卵)が降ってきました!? ~追放されましたが、推しにストーカーされているようです~(約10万文字)

【完結済】訳あって年下幼馴染くんと偽装婚約しましたが、リアルすぎて偽装に見えません!(約8万文字)

【完結済】火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで(約28万文字)

【完結済】私を断罪予定の王太子が離婚に応じてくれないので、悪女役らしく追い込もうとしたのに、夫の反応がおかしい(約13万文字)

【完結済】婚約破棄されて精霊神に連れ去られましたが、元婚約者が諦めません(約22万文字)

【完結済】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います(13万文字)

【完結済】魔法学園のぼっち令嬢は、主人公王子に攻略されています?(約9万文字)

【完結済】身分差のせいで大好きな王子様とは結婚できそうにないので、せめて夢の中で彼と結ばれたいです(約8万文字)


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