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モブ令嬢の、幸せ推し活な学園生活 ~モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!~  作者: 廻り
第三章 モブでしたが、女神として認められるよう皆と一緒にがんばります!

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104 事件の結末4


 人間が準備もせずに地面を掘れる深さなど、たかが知れている。さほど苦労することなく証拠は姿を現した。


「こんな埋め方をするなんて……」


 精霊の怒りにより骨だけの状態となったイサークの部下は、無造作に原型が崩され、一か所にまとめられた状態で埋められていた。まるでゴミでも埋めるかのように。

 前世では火葬が一般的だったモニカでも、これはひどいと感じる。土葬をおこなっているこの国の者たちならなおさら、そう感じるだろう。


「こいつも馬鹿だよな……。イサークなんか信じて。俺と同じだ……」


 ルカは沈んだ様子で呟く。

 この部下は、モニカたちがハイキングから戻った数日後に突然、騎士団を辞めたのだという。

 故郷へ戻るという理由で、退団届けだけを残して消えた。イサークは困ったように皆へ説明した。


 部下は自らを過大評価しすぎる部分があり、日頃から騎士団では厄介者扱いされていた。そんな部下を引き受けたイサークを皆は、人格者だと称賛していたほど。

 だからこそ誰も、イサークを疑わなかった。


(ゲームのルカ様と同じだわ)


 ルカの父親が襲撃された際に、イサークによってルカは濡れ衣を着せられた。イサークが捏造した証拠を、誰も疑わなかったのだ。

 イサークは常に真面目で優秀であり、素行が悪いルカと比べると、正当性が明らかのように見えたから。


「ルカ様と同じではないです。ルカ様はイサークのこんな計画に乗ったりしないでしょう?」


 ルカは、扱いやすいようでいて、自分の信念は絶対に曲げないタイプ。だからこそイサークは、ルカを利用しきれずに陥れる選択をしたのだ。


 イサークが絡むとルカは落ち込みがちだ。心配しながら見つめていると、彼はモニカの手を取り、自らの頬にすり寄せる。


「俺……。この事件は、モニカの支えがないと耐えられそうにない」


 潤んだ瞳で、捨てられた子猫のように「にゃぁ」と鳴きそうな雰囲気。


(ルカ様、なんかこれ、スチルみたいですよ……?)


 こんな可愛いルカを見るのは、子どものころ以来だ。保存したい。この尊い一瞬をどこかに保存しておけたら良いのに。


「モニカの同情心を煽るな」


 カリストがモニカの腕を掴み、引っ込められたことでモニカは我に返る。


(今のはまったく同情していませんでした……)


 申し訳なく思いながらルカを改めて見ると、彼はイタズラが不発してつまらないような表情をしている。

 本当に同情されたくての行動だったようだ。そんなことをしてしまう推しも可愛い。




「ここを起点にして、周囲に遺留品がないかもう一度調べてくれ」


 ブラウリオは騎士団にそう指示した。以前にくまなく捜索したようなので、遺留品が見つかる可能性は少ないが、今は騎士団を遠ざける必要がある。ここからはモニカの出番だから。


 遺骨の前にモニカたちだけ残ると、周りから見えないように皆で骨を囲んだ。


「おーい。女神さまがきたよー! 出ておいで―!」


 ルーは骨に向かってそう呼びかける。精霊は基本的に主人の前にしか姿を現さない。主人が骨になってしまってもそれは変わらない。

 ましてやモニカたちとは初対面。精霊王の呼びかけだとしても姿を現す可能性は低そうだが――。


 骨に宿っていた精霊は「女神さま!」と叫びながら姿を現した。

 さすがは女神効果。珍しいものを見たいという欲求は、人間も精霊も共通だ。


 ルーと同じく赤い容姿の精霊ということは火属性のようだ。


「初めまして、火属性の精霊さん。私はモニカと申します。女神ではなくモニカと呼んでくださると嬉しいです」

「モニカ……」


 そう呟いた火属性の精霊は、瞳を潤ませながらモニカの指に抱きついてくる。


「うぇ~ん。ご主人さまがぁ~。ご主人さまがあいつにそそのかされて、わっちを裏切ったのぉ~」


 あの事件から一年以上すぎたが、精霊はいまだに契約者から裏切られたことに悲しんでいたようだ。

 もっと早くにこの事実に気がついていれば、この精霊を寂しい場所で悲しませずにすんだ。


 精霊と契約者は、契約者の死後も関係が維持される。そのため葬儀の際には、契約を解除して精霊を聖木の森に返す儀式をしなければならず。

 それをできずにいると、この精霊のように聖木の森にも帰れず。骨に宿ったままで、契約者の死を悲しみ続けることになる。


 精霊から直接的に聞いた事情も、イサークの精霊から聞いた話とおおむね同じだった。


「精霊さんの契約を解除して、聖木の森へお返ししたいと思っています」

「本当……? でもわっち、ご主人さまを置いていけない……」


 裏切られてもずっと悲しんでいた精霊は、契約者のことを心から好いていたようだ。


「精霊さんの契約者さんも、ちゃんとお墓に埋葬します。それから、精霊さんの無念も晴らしませんか?」

「無念……?」

「私たちはイサークの罪を裁判で明らかにしたいと考えています。精霊さんが証言してくだされば、必ずイサークに罰を与えられます」


 泣き顔が明るく変化する精霊へ、モニカはもうひとつ事実を突きつけねばならない。


「その代わり。事件を明らかにすると、契約者さんも罪に問われます。実際に魔獣を召喚したのは契約者さんなので。契約者さんは罪人として埋葬されるでしょう。証人を拒否することも可能ですが、申し訳ありません……。私たちはほかの方法を探してでも、イサークの罪を明らかにするつもりです」


 今日ここへ来たのは、裁判で証人になるお願いと、契約者が罪人になる事実を知らせるためだ。

 証人にはなってもらいたいが、精霊が証言することで主人の罪が確定してしまう。その事実を隠したまま証人にはさせられない。


「わっち、証人になる! ご主人さまは悪いことしたんだからしょうがないもん……。それに、ご主人さまはわっちから罰を受けたのに、あいつはのうのうと生きてるなんて許せない!」


 精霊はイサークの心臓にも傷をつけた。それほどイサークに対しての恨みが強い。

 契約者への想いが残っていることが気がかりだったが、決断してくれたことにモニカはほっとする。


 これで証拠はそろった。後は裁判でイサークの罪を明らかにするだけだが。


(リアマ卿は大人しく罪を認めるかしら……)





 そして、裁判当日。

 

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◆人物紹介◆

モニカ・レナセール
伯爵令嬢。乙女ゲームのモブ

カリスト・ビエント
教師・男爵家の養子。乙女ゲームの攻略対象(初心者用)

ルカ・フエゴ
公爵令息・騎士。乙女ゲームの攻略対象

リアナ
聖女・平民。乙女ゲームのヒロイン

ブラウリオ・ アグア・プロテヘル
王太子。乙女ゲームの攻略対象

ロベルト・スエロ
侯爵令息・宰相の息子。乙女ゲームの攻略対象

ミランダ・セーロス
公爵令嬢。乙女ゲームのルカの婚約者

ビアンカ・ソルダー
辺境伯令嬢。乙女ゲームのロベルトの婚約者

イサーク・リアマ
男爵・ルカの従兄。乙女ゲームの悪役

ルー
火属性の精霊

◆作者ページ◆

~短編~

愛のない結婚を繰り返そうとする夫に、賛同します

契約婚が終了するので、報酬をください旦那様(にっこり)

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【書籍】悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

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【電子書籍】推しの妻に転生してしまったのですがお飾りの妻だったので、オタ活を継続したいと思います

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