第12話 経営資源としての『ヒト』
ある日の大学からの帰りの電車内にて…
”ドアが閉まります。ご注意下さい……”
”ファンホーン…ファンホーン………ガタン…”
「ふぅ…どうにか通勤特快に乗れたな」
「はい。この列車なら、立山の次はもう九王子ですからね♪(先輩と九王子のエキナカでお茶する時間が長くなるから良かったぁ!)」
「………」
「……先輩、ドアの上にあるモニター(車内案内表示装置)を真剣に見てますけど、何かあったんですか?」
「…『ブラック体質改善されず。名ばかり店長の超過労働時間、月150時間』だそうだ」
「月に150時間の超過労働ってことは…週休5日制で勤務していたとしたら、一日7時間位の残業ってこと?」
「…ニュースによると、この会社は裁量労働制を採用していて、契約上の勤務時間は一日7時間の週5日勤務だとされている。だが、ニュースで取り上げられた名ばかり店長は、週に1日しか休みを取れず、契約上の1日7時間、月25日勤務で計算すると、月に150時間の超過労働になっていた、ということらしい。それでいくと、余分に出ている週1日分はまるまる超過労働時間に換算される訳だから…1日の残業時間は5時間位じゃないだろうか」
「…仮に朝9時に出社して、17時に定時を迎えたとしても、そこから毎日5時間の残業をしている訳だから…会社を出るのは毎日22時ってこと!?」
「そういうことになるな」
「経営学の講義で、『企業の継続的な発展のためには、優秀な人材を採用し『人財』に育て上げる必要がある』って教授が言ってましたけど………いくら残業代が出たからと言って、およそ人としての生活ができないような労働を強いていれば、『人財』にはなりえませんよね!!」
「教授は 企業は人なり とも言っていたな…経験や研修などを経て従業員の能力を開花させ、経営資源としての ヒト の有用性を高める必要がある訳だ」
「所謂『ブラック』と言われるような働き方・働かせ方では、人材が人財にはなり得ないってことですね」
「ああ。いくら 社内研修 (OJT (On-the-Job-Training)) や 職場外集合研修 (Off-JT) 、 自己啓発 なんかを促したところで、そんな余裕のない働かせ方をしていては、家には寝るためだけに帰る生活になるわけだから、自己研鑽に充てる時間なんて取れないからな」
「ブラックな企業は別として、一般の企業では人材を人財とするために、従業員の能力開発はどうしてるんだろう?」
「それもこの前の経営学の講義で触れていたな」
「そうでしたっけ!?」
「通常、企業が能力開発を行う場合、場当たり的に行うのではなく、経営理念・経営戦略などに基づいて長期的な視野に立って行う必要がある。そして、一般社員には専門的技能 (テクニカルスキル)が、部長や課長といった管理者には専門的技能に加えて対人関係力 (ヒューマンスキル)が、社長や専務といった経営者には専門的技能と対人関係力に加えて問題形成・解決力 (コンセンプチャルスキル)が必要であるとされているな」
「確かに、そんなことを教授が言ってましたね。で、これらのスキルが備わった社員によって構成された組織を戦略に合わせて作る必要があると」
「 組織は戦略に従う という言葉があって、経営戦略に基づいて組織構造を改編していく必要があると言っていたな」
「さらに、組織には 組織文化 というのがあって、組織に属する人の共通の価値観や行動規範があるんでしたよね!」
「ああ。これが定着すると、その組織の人員の思考や行動が継続的に一定のものとなる。それがその組織にとって問題なければよいが、何らかの障害になる場合は、経営者が強いリーダーシップをもって変革していく必要があるな」
「(私と先輩は組織じゃないけど………デートの時に自然と手をつないで歩いたり、カフェで同じものを頼むのって、ある意味組織文化って言えるのかも♪)」
「どうした美琴?何だか嬉しそうな顔してるけど…」
「組織文化って、いいなぁ…と思って♪」
「???」
第13話 に続く
☆検定問題にチャレンジ!!☆
次の1~4は、経営資源としての『ヒト』について述べたものである。中から不適当と思われるものを1つ選びなさい(剣世炸作成 オリジナル問題)
1.『企業は人なり』と言われており、企業の継続的な成長・発展のためには『人財』が不可欠である。
2.『ヒト』の能力開発には、一般的にOJTやOff-JT、自己啓発などがある。
3.組織に属する人員が有する共通の価値観や行動規範などを組織文化という。
4.組織構造に合わせて、経営戦略を立てることが経営成功の鍵となる。
不適当な選択肢は…
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4.組織構造に合わせて、経営戦略を立てることが経営成功の鍵となる。
☆ 解 説 ☆
組織はあくまでも経営のための手段であり、組織構造は経営戦略に合わせて変えていく必要があります。組織に合わせて経営を変えるものではないため、不適当ということになります。




