プロローグ
「好きです」
と告白をされたこともあったと思う。でも今日は、
「付き合ってください」
と後輩から言われた。その差異について考える前に、
「ごめん。あなたのこと、知らない」
と私は答えていた。
「涼音、一年で一番かっこいい萩原くんだよ」
と友達の咲は言うけれど、知らない。
だいたい、告白するならこんな廊下じゃだめよ。体育館の裏も怖いけど、みんなの前なんて恥ずかしい。考える余地もない。
「無理です。すいません」
私は頭を下げた。
「わかりました」
後輩のくせに私より背の高い男の子はため息をついて教室に戻っていった。
かっこいいってどういう人を指すのだろう。教科書には載っていない。
「ああ、萩原くん撃沈。かわいそう」
と里亜も言う。
「本当にこのすずは誰ならいいのかしら」
優華ちゃんとは幼稚園からの腐れ縁。
「一番かわいいのに、もったいない」
と咲が私の頬をつねる。
「私だってみんなみたいに彼氏欲しいよ」
私は言った。しかし、私はつまらない人間だ。優華ちゃんのように穏やかではないし、咲のようにダンスが得意でも、里亜のようにゲームに詳しくない。ということは、顔だけで好かれているのだろう。
「あ、私別れた。よく考えたらリーマンのすね毛、気持ち悪くて」
と里亜が告白する。確か、25歳の大人と付き合っていたんだよな。
「そんなことより学食。ラーメン終わっちゃう」
今は恋人よりも一番人気のラーメン。
私たちは高校生で、毎日が同じようで違うって、わかり始めてきている二年生。




