表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/100

第二十一話「砂被り姫の好敵手?」中編



 その時、突然扉は開かれた。


「カイロォ! このイスマリヤちゃんが遊びに来ってあげたわよっ!」


 バーン! とでも音がして背後に爆発でも置きそうな勢いで、骨董品店の扉が開かれる。

 危うく扉が吹き飛ぶのではないかと思ったが、入り口に立つのは一人の少女。ロゼッタより背の低い彼女に、それほどの力はないだろう。


「ちょっといるのなら返事しなさいよ。わざわざあんたの幼馴染が帰郷ついでにこうしてお菓子片手に売れないお店に足を運んで――」


 勝手知ったる人物なのか。返事をしないカイロにかまわず店の中に入りカウンターへ向かってくる。

 黒く長い髪を振り、帝都で今流行のブランド服に身を包んだその少女は、とある名家の娘だ。貴族というわけではなく、海運業で名を馳せた一族であり、現在も帝国の流通の一角を担う。

 マドレーヌを通じた昔馴染みであり、頻繁とは言い難いが、店に訪れる。


「やぁ、マリヤ。大体半年ぶりかな?」

「ようこそ、『ル・ビュー』へ……お知り合いでした?」

「うん。昔馴染み。彼女はイスマリヤ・イェファソン。それなりの常連だよ」

「そうなんですね。初めましてイスマリヤさん。私はロゼッタ・カエルムと言いまして、今はカイロさんのお店で……イスマリヤさん?」


 そこで、二人はイスマリヤがピクリとも動いていないことに気づく。

 もともと大きい両目はカッと見開いたことでより大きく見え、空いた口は塞がらない。不思議そうに顔を見合わせたカイロとロゼッタに対して、数秒後、ようやく動き出した。


「誰よその女ァーーっ!」


 突然発した大声に耳を塞ぎながら、カイロは応える。


「誰と言われても……君はまだ会ったことなかったか、彼女はロゼッタさん。僕の助手」

「よろしくお願いしますね、イスマリヤさん。ロゼッタと申します」


 イスマリヤが何に対してこれほど感情的な反応を示しているのか、二人には理解できていない。

 カイロは昔馴染みと親しすぎるゆえに。そして、つい先ほど自分の気分に決着をつけてしまったから。

 ロゼッタは自分がカイロにとってどういう存在なのか自覚がないため。


 ――カイロが盗られちゃった。


 などとイスマリヤが考えているとは、二人ともつゆほど考えてはいなかった。






少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ