四匹の猫について
前回は2月22日で「にゃーにゃーにゃー」で「猫の日」だったんじゃん!
ピカソについて書いている場合じゃなかったよ! 大事なことは、いつも後になって気づくんだ……。
とは言っても、ピカソも、まるっきり「猫」と無縁ではありません。
ピカソの行きつけ、スペインにあるカフェの名前は「四匹の猫」という店名だったそうです。(強引な繋ぎ方)
スペインのカタルーニャ語の口語で「ごく少数の人々」を「四匹の猫」と言い表すことがあり、カフェの名前はそれに由来している、とのこと。
大勢のお客に来てもらうべき店の名前に「ごく少数の人々」というネーミングセンス、理解に苦しみますが……。
日本で「閑古鳥」とか「開店休業」とかいう名前の喫茶店があったら、入店したいって思えるか?(いや、逆に面白そうかも)
それもそのはず、「四匹の猫」は開店当初から、「カフェ」としてではなく、芸術家たちの「集いの場」として構想され、複数の画家たちによって資金が提供され、経営を開始したのです。
食事目的で店にやってくるお客を軽視し、質素なメニューしかなく、しなびたレタスのサラダなど、やる気のない調理。
店内を「不潔な状態」で維持することも経営方針のひとつだったとか。
料理を提供するような場所で、なぜ「不潔な状態」を維持するのか?
それは、薄汚い服装をして、生活に困窮していた売れない芸術家たちが、店にいても居心地悪くならないようにする配慮であり、気遣いでした。
「四匹の猫」は、ピカソ以外にも芸術家が集い、展覧会やコンサートなど、表現活動の場でもありました。
(まだ画家として無名だった頃のピカソも、この店で展覧会を開いています)
集まった者たちにより、店の名を冠した『四匹の猫』という手作りの広報誌も発行され、演劇・美術の評論、小説、絵などが掲載されました。
同時代に生きた建築家のアントニオ・ガウディは、友人に誘われて「四匹の猫」に訪れたことがあるらしいですが、それ以降「汚い場所だ」と集まる芸術家たちを非難し、店自体を嫌っていたようです。
現在、「四匹の猫」は閉店し、同じ場所に観光客向けのレストランが建っているそうです。




