お寿司につく「ニセ葉っぱ」の名前
出前のお寿司や、スーパーで買う寿司のパック、お弁当などには、必ずプラスチックビニール製の「緑色の葉っぱみたいなの」が入っています。
私が子供の頃には「ニセモノの葉っぱ」とか言ったものですが、アレの名前は「バラン」と言います。なんか怪獣映画に出そうな名前。
諸説ありますが、漢字では「葉蘭」、あるいは「馬蘭」と書き、元々はハランという植物の名前だったと言われています。
地面を緑色に彩るために植える、庭園用の飾り用に使われる植物で、笹の葉っぱを思わせる大きな葉が特徴です。
そんなハランの葉を、寿司を飾るアクセントとして、寿司職人が切っていました。
正統派のバランは、「ニセモノ」ではなく、「本物の葉っぱで作る飾り」だったのです。
元々の握り寿司は、現在のようにお店で食べるスタイルではなく、屋台で売っており、葉っぱで包んでいました。
爽やかな香りづけにも一役買うと同時に、葉の酵素で殺菌も兼ねています。
寿司職人たちは、バランの飾りを、包丁の技巧で、文字や家紋の形に切り抜いて、そのテクニックを競いました。
現代でも、全国の「すし技術コンクール」には、「笹切り部門」が存在し、バランを綺麗に切り抜く技術が評価されている他、調理師技能検定免許の寿司部門にも、笹の葉でバランを作る実技試験があるそうです。
今では、お弁当の中でおかずとおかずがくっついて色や味が混ざらないような「仕切り」として使われるようになり(緑色が入ることで、彩りが良くなるという目的もあります)、本物の葉を使うよりも、プラスチック製のニセモノの葉を使うことが多くなっています。
「バラン」は、百円ショップでも安価で大量に入手可能です。
最近では、種類も豊富で、オーソドックスなギザギザの「山型バラン」、笹の葉を模した「笹型バラン」、もみじの葉を模して紅色になっている「もみじ型バラン」、祝いの席で見かけることの多い「タケノコ型バラン」「エビ型バラン」、使い捨てではなく、水洗いして繰り返し使える「シリコン製バラン」などもあります。




