テスト前にマンガを読みたくなる衝動の正体
学生の頃、定期テストの前になると、「勉強しなきゃいけないんだけどなー」なんて思いながらも、マンガを読みふけってしまうこと、ありませんでしたか?
社会人になっても、明日は大事なプレゼンだから事前に資料を読み込んでおかないといけないのに、ついスマホをいじって、動画を見たりアプリゲームに興じたりしているうちに時間が過ぎる、なんて経験をした人もいるのでは。
これらの現象は、現実逃避……じゃなかった、心理学で「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれます。
もしも、テスト前に一生懸命勉強したにも関わらず、良い成績が取れなかったら。全力でプレゼンの下準備をしてスピーチの練習までしたのに、当日になって失敗してしまったら。
精神的に大きなダメージを真っ向から受けて、自信喪失して落ち込んでしまいます。
そこで、自らハンデを負う方向に走るのです。
勉強しなきゃいけないのは分かっているけど、マンガを読む。
仕事に手をつけなきゃいけないのは承知しているけど、スマホでゲーム。
悪い結果が出たら「あーあ、あの時もっとちゃんとやっていれば、きっと良い結果になったはずなんだけどなあ」と自分を励まし、自尊心を守るための自己防衛手段なのです。
逆に、良い結果が出れば「あれ、あまり本気でやっていなかったのに、思った以上に調子がいいぞ。実は潜在的な力が眠っていたのかな?」と自らを褒めることもできます。余力を残して成功しちゃう俺すげー、みたいな。
「失敗しても仕方ない理由を、無意識のうちに作り上げる」というのは、自己の内面だけではなく、外側に向かう場合もあります。
テスト前に「勉強してたら徹夜しちゃったよ」と真っ赤に充血した目で申告してきたクラスメイトがいたら、そいつは「たくさん勉強したんだ、と自慢したがっている」というよりは「寝不足のせいでコンディションが悪いから、全力出せないかもしれないなあ」という言い訳の下準備をしているのです。
真っ赤な目をしていても「いや、勉強なんて全然してないよ、全然」と否定する方が、人の目には謙虚に映るかもしれませんね。嘘つきと思われる可能性も大ですが。
もちろん、その人が「ゴルゴ13」や「三国志」を一晩中読んでいて、本当に勉強してない場合もあります。
これからテストなのに、急に「こち亀」の日暮さんの話をしてきたら、その人は間違いなくテスト勉強をせずに、「こち亀」を読みふけっていたに違いありません。日暮さんは4年に1回しか出ないキャラなのに。
「セルフ・ハンディキャッピング」は、失敗を恐れる本能として、ついついやってしまいがちです。
自分のプライドは守られるかもしれませんが、周囲からは「あいつ、いつも言い訳ばっかりだな」というレッテルを貼られてしまいます。
全力を出さず、「本気の自分」を隠し続けて……気づけば、「本気の出し方」を忘れてしまうかも。
失敗も、経験のひとつ。経験こそ最高の勉強法です。たまには、「本気の出し方」を思い出してみませんか?




