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【感謝!4万PV突破!】雑に学ぶと書いて雑学 ~昨日より今日の自分が少し賢くなるかもしれない~  作者: 雲条 翔


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「心頭滅却~」と言った人は……

心頭滅却しんとうめっきゃくすれば火もまた涼し」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。


 夏の暑い時に「集中すれば暑さなんか感じないんだ! もっと集中しろ!」とエアコン代を節約する学習塾の壁に貼ってありそうな格言です(偏見)。

 どんなに人間の集中力を研ぎ澄ませたところで「火が涼しい」という境地には至らないとは思います。火は火です。熱いです。


 元々、この言葉は中国の詩人が詠んだ句だったそうです。


 それを、臨済宗の禅僧・快川紹喜かいせん・じょうきが引用したことで有名となりました。


 快川和尚について。


 武田信玄や織田信長などと同じ時代、快川和尚は故郷の美濃の繋がりもあり、斎藤道三と交流がありました。そして、斎藤道三から武田信玄にも紹介され、信玄は快川和尚の人柄を気に入り、厚い待遇をしていました。

 信玄の死後、武田勝頼が家督を継ぎましたが、織田信長との戦で敗れます。


 武田家の領内が混乱する中で、快川和尚は武田家ゆかりの武将たちを、恩義から自分の寺へと保護しました。


 当時は、お寺は聖域であり、戦乱の中でも攻められない最後の砦。

 例え、敵を匿っていると分かっても、そこに火を討ち、攻めるなど、禁忌の領域。


 ですが相手は、あの型破りで常識破壊の第六天魔王・織田信長です。

 寺に火を点ける「禁忌」なんて、なんのその。そこに焼き討ちを仕掛けました。


 火に囲まれ、追い詰められた僧たち。

 メラメラと燃えさかる炎で周りが閉ざされる中、狼狽している皆を前に、快川和尚は座禅を組み、「安禅不必須山水 滅却心頭火自涼(安禅必ずしも山水をもちいず、心頭を滅却すれば火おのずから涼し)」と古い中国の詩を唱えました。


「安らかな座禅をするには、静かな山の中である必要はない。熱いという心を滅すれば、火も自然と涼しく感じられる」といった意味です。


 この詩を唱えた直後、快川和尚は火の中に身を投じました。1582年(天正10年)のことです。


「心頭滅却すれば火もまた涼し」……この言葉を広めた人物が、炎の中で亡くなっていて、しかも自らの投身の直前に発した「最期の言葉」だというのは、なんとも壮絶です。


 皆さんも御存知の通り、織田信長は明智光秀の謀反により、本能寺で炎に囲まれて人生を終えます。

 天罰のような、何らかの因縁を感じずにはいられません。


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