「冬将軍」って誰のこと?
雪が降る寒い冬……日本に来る寒気(シベリア寒気団)を「冬将軍」と呼んだりします。
ニュースで「いよいよ冬将軍の到来です」などと言われると、「そういう人がいるのかな。鎧甲冑を着た人が各地を歩いて、寒さを振りまいているのかな」と勘違いする児童もいるかもしれません(幼少期の私がそうでした)。
当時は「桜前線」も「さくら先生」だと聞き間違えていて、さくらという名前の美人の先生(勝手な妄想)が各地を歩くと、通った場所の花がポンポンと咲いていって、春が訪れる……と誤ったファンシーなイメージを漠然と抱いて「ウチの近所の桜の木はまだ花が咲いていないから、さくら先生はまだ来ていないんだな」と窓の外を見ていたものですが。
私のおバカな幼少期の話はどうでもいいですね。
さて、「冬将軍」の語源について。
それは、19世紀のフランス、ナポレオンの戦況に由来しています。
ロシアとの戦争で、モスクワに遠征したナポレオンは、冬の寒さ、大雪の影響で敗北します。
このことが、イギリスの新聞で「general frostに負けた」と報道されました。
戦術的・戦略的に優れていたナポレオンも、冬の寒さには勝てなかった、ということで「あのナポレオンをも退却させた強さ」を擬人化したわけですね。「general frost」を直訳すると「霜将軍」なのですが、これが日本に伝わる時には「冬将軍」となりました。
新聞で自分の敗北が報じられたこともナポレオンの人生に影響しているのか、「私は百万の銃剣よりも、三枚の新聞紙をもっと恐れる」という言葉を残しています。
また、「冬」「ナポレオン」と言えば、ブレザーやジャケットなど、上着の袖にあるボタンに関する雑学もあります。
まさにモスクワ遠征時、極寒の道中で兵士たちは、寒くてたれてくる鼻水をジャケットの裾で拭いていました。
袖は乾いた鼻水で白くテカテカになり、みっともないからとナポレオンが注意するものの、改善されませんでした。
そこで考案したのが、袖で鼻水を拭くことができないように、ボタンをつけるという対処。
それが「袖ボタン」の起源と言われています。
上着の袖ボタンは何のためにあるんだろう、と疑問だった人。
あれは「鼻水テカテカの防止」からなのです。
「防止」……「ぼうし」といえば、もうひとつ。
ナポレオンのかぶっていた特徴的な軍帽に形が似ている、ということから「メガネモチノウオ」という魚は「ナポレオンフィッシュ」という別名があるそうです。
沖縄あたりでは普通に食べられるとか。美味しいらしいです。




