赤鼻のトナカイ、名前はルドルフ
気づけば、もうクリスマス過ぎてましたよ。
クリスマスのネタを書くなら、早めに書いておけば良かった……前回の「ツァイガルニック効果」とか、わざわざクリスマスイブじゃなくても良かったんだ!
と後悔してもしょうがない。
人生において「早めにやっておけばよかったなあ、と時期を過ぎてから気づく」なんてのは、今に始まった話ではないし。
気持ちを入れ替えて、切り替えて。
今回は、サンタクロースのソリを引く、トナカイの話。
ソリを引くトナカイは、9頭、と数が決まっています。
名前は、ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、コメット、キューピッド、ドンダー、ブリッツェン、そしてルドルフ。
トナカイたちがサンタクロースのソリを引くイメージは、1822年、クレメント・クラーク・ムーアが子供たちに読んだ「聖ニコラスのご来訪」が始まりと言われています。その中で、個性豊かなトナカイたちの名前を順番に呼ぶシーンがあるのです。
ただし、ここでは、ルドルフ以外の8頭だけ。
ルドルフが登場するのは、「聖ニコラスのご来訪」から100年以上経った、1930年頃。
アメリカのロバート・L・メイは、大恐慌の中、妻のバーバラ、4歳の娘のエヴリンと、貧しい生活を送っていました。
妻のバーバラは、病気で寝込んでしまい、幼い娘のエヴリンは落ち込みます。
ロバートは、娘を喜ばせたい一心で、即興で語りました。
周りの仲間と違い、赤くて目立つ鼻を持っていたトナカイのルドルフ。
皆から笑われて、コンプレックスでしたが、深い霧の中では目印となり、サンタクロースがソリを操る時には先頭を走るようになりました。
他者とは違うコンプレックスが、誰かの役に立つ話。
神様に創られた生き物は、いつかきっと幸せになる……。
その話は、病床の妻、幼い娘、そして貧しさと戦う自分自身に言い聞かせるかのようでした。
その後、ロバートは娘へのプレゼントとして、この物語をお手製の本にまとめます。娘のエヴリンは大層喜んでくれました。しかし、本の完成目前に、病状が悪化した妻のバーバラは、この世を去っています。
売れないコピーライターだったロバートは、会社のパーティーでこの本を朗読すると、会場からは拍手喝采。
彼の作った物語は、宣伝用の本として無料で配られ、お話が世界中に広がっていきます。
ロバートの義兄弟によって、物語を元とした歌も作られました。
日本でも有名な「赤鼻のトナカイ」です。
世界的知名度を得た、赤鼻のトナカイ・ルドルフは、8頭のトナカイたちに加わって、「サンタクロースのソリを引くトナカイは、9頭」という共通認識になるのです。
ちなみに「ソリ」を漢字で書くと「橇」となります。毛が多い。




