あと少しなのに「ツァイガルニック効果」
前回の「リドル・ストーリー」からの連想ですが、中断している事柄は、妙に頭に残り、引っかかったりします。
もう少しで読み終えるのに、時間がなくて中断した小説の物語。
最終回だけ見逃した連続ドラマの展開。
「はいそこでペンを置いて」と制限時間になってしまい、最後の問題を解き終えないままだった試験など。
なんとなく頭の中にモヤモヤと残ってしまい、意識してしまう……身に覚えがありませんか?
「達成できた事よりも、達成できていない事・中断している事は、記憶に残りやすい」事象を「ツァイガルニック効果」と言います。
旧ソビエト連邦の心理学者、ブリューマ・ゼイガルニクの実験によって示されたので、その名が残っています。
「ゼイガルニク」は英語読みで、原音に近いロシア語発音が「ツァイガルニック」となります。
目標が達成されない未完了課題についての記憶は、完了課題の記憶に比べて想起されやすい……最後まで請け負うはずだったプロジェクトが途中で打ち切りになった、ケンカした相手に謝ろうとしたけれど言いかけたままで最後まで言えず、それから何年も会っていない、なんて「マイナスな方向」の記憶が、いつまでも脳裏から消えてくれない原因でもあります。
人間は誰しも、心理的に「終わらせないとモヤモヤする」のだから、課題を完了させるモチベーションとして「あともう少し」→「終わらせるぞ!」という精神状態に持って行く、という「プラスな方向」の使い方もあるかもしれません。
テレビなどで「続きはwebで!」とか「クイズの答えはCMのあとで!」とされると、気になってつい見てしまう……というのも、「ツァイガルニック効果」のマーケティング的な使い方として有効です。
なので、「ツァイガルニック効果」を駆使するならば、このエッセイも途中で終わった方が読者の記憶に残




