「シカトした」のは、シカ
今や、世界に名だたるテレビゲームの「ニンテンドー」ですが、テレビゲームの開祖・ファミリーコンピュータを発売する1983年以前は、トランプや花札などのアナログゲームの製造・販売がメインでした。
「与えられた仕事を全うしたうえで、運に関しては『天』に『任』せるしかない」というところから「任天堂」と社名が付けられたそうです。
企業努力もありますが、引き寄せまくってますよね、運。
さて、今回は、昔の任天堂さんの主力製品だった、花札の話。
「無視する」ことを「シカト」と言ったりしますが、これは花札の「十月札」に由来します。
「十月札」は、紅葉の中で、一匹の鹿が描かれている絵札。
鹿がそっぽを向いていることから「無視する」ことを「鹿の十月札」→「鹿・十」→「シカト」と呼ぶようになりました。
花札由来の言葉は意外と多く、「ボンクラ」「ピカイチ」「三下」なんかもそうです。
「ボンクラ」は漢字だと「盆暗」と書き、「盆」は「賭博場」の隠語、「暗」は賭け事で負けて、お先真っ「暗」な状態。
賭け事で負けるのは、注意不足でぼんやりして、物事が分かっていない人……というところから「ぼんやりしていて、物事が分かっていない人」を「ボンクラ」と呼ぶようになりました。
大勢の中でも傑出した才能を意味する「ピカイチ」は、花札の中で高得点な「二十点札」が、手持ちの札の中で一枚だけあり、残りの札がカスだった場合にのみ 「ピカイチ」という手になるというところからです。
「三下」 も、花札の「カブ」という遊びの中で、 「三点」 以下は意味がないくらい弱い手なので、三より下はひどく弱い、ということで相手を見下して 「三下風情が」 「三下野郎め」 などの乱暴な言い方をする 「弱い者」 の蔑称になったのです。
「ピカイチ」はまだしも、「シカト」「ボンクラ」 「三下」なんかは、あまりガラの良い言葉遣いではないので……初対面の人に使うのは、控えた方がいいと思います。
ケンカを売りたい時以外には。




