「のたうちまわる」のは、イノシシ
私が思う「日常で使ってる言葉の中で、地味に怖い言葉」のランキング第1位は「死に物狂い」です。
体育の先生が 「お前はもっとできるだろ、死に物狂いになって頑張れ!」などと激励や声援を飛ばしそうなイメージですが、ひとつの単語の中に「死ぬ」「狂う」が揃っているワードって、他にないですよ。あるとすれば「狂い死ぬ」くらいですか……。
ランキング第2位は「息を殺して」という表現。
「息を殺して、じっと待った」 とか使いますけど、「息」「殺す」の時点で、命の息吹を奪う感じが濃厚なんですよね。
ちなみに第3位は「断腸の思い」です。 腸が! 腸が! 聞くだけで痛そうだ!
さて、今日のテーマは「のたうち回る」でしたっけ。
「のたうち回る」に続く言葉としては、「激痛で」とか「薬物患者が禁断症状で」とか……まあ、この言葉が出る時点で、ハッピーなビジュアルではありません。
「結婚式場でのたうち回る」「宝くじが当たってのたうち回る」そんな人はいません。
いや、私の周りにはいませんが、これを読んでいる皆さんの周りに「私の知り合いが、結婚式場でブーケトスのキャッチに成功して、喜びの余り、のたうち回ってたけど?」 とかホントにいたらゴメンナサイ。いないか。
「のたうち回る」というのは、沼や田んぼを意味する「沼田」の中で、イノシシが暴れていたことに由来します。
体についたノミがかゆくてしょうがないイノシシが、沼や田んぼの湿地帯で激しく転がり、自身を地面に打ち付けて、泥をかぶってノミを追い払おうとしました。
その様子から 「沼田、打ち、回る」→「のたうち回る」となった、ということです。




