ドタキャンの「ドタ」は怖い場所
「直前になって、やめる」ことを「ドタキャンする」と言ったりします。
「ドタキャン」はドタバタ慌ててキャンセルする……わけではなく、「土壇場でキャンセル」の略です。
「土壇場」というのは、江戸時代の斬首処刑場。いわば、死刑が執行される場所です。
穴を掘った地面の淵に罪人を寝かせ、首をスパーンと刃物で切ると、首がゴロゴロ転がって穴に落ちる、という仕組み。
「土壇場」は、首を「切断」する場所だったことから「土断場」 と書いたこともあったようです。
どうにもならないピンチの局面、ギリギリの状況を意味します。
「ごめん、急にドタキャンになって」と謝る人、命が助かっただけでも良しとしましょう。
「土壇場」と字が似てるけど、「独壇場」 とは全然違うので気を付けましょうね。
この「ドタキャン」 という言葉は、1990年代くらいから使われ始めたようです。
当時、「若い人が使う最近の流行語」として、クイズ番組で「ドタキャン」と一緒に見た記憶があるのが「キヨブタ」という言葉。
覚えている方、いますか? ちなみに「豚」は関係ないです。
「清水の舞台から飛び降りる」の略なんですって。
思い切って大きな決断をする、という意味のことわざです。キヨミズ・ブタイで、キヨブタ。
「今日はキヨブタで高いメシおごっちゃうよ」 なんて使ったらしいのですが、当時、テレビを見ていても「そんな略語、聞いたことないけどなあ……」と首を傾げたので、妙に印象に残っています。
江戸時代には、願掛け目的で清水寺の高い舞台から飛び降りた人が二百人以上いたらしいのですが、生存率は8割を超えたそうですよ。意外と死なない。




