兵器になりそこねた電子レンジ
電子レンジは英語だと 「microwave oven」。
略して 「microwave」 と呼ぶ場合も多いそうです。
日本語の「電子レンジ」の「レンジ」は「かまど」という意味。
電子のかまど、なるほど納得。
年配の方は「レンジで食品を温める」ことを「これ、チンして」と言う人もいるのでは?
昔の電子レンジは、タイマーで加熱時間が終わると「チン!」と知らせるベルが鳴ったんですよ(若い人向けに改めて説明)。
今は「チン!」ではなくメロディーに変わってしまったので「チンする」は完全に「死語」なのでしょうけど。
1945年、アメリカのレーダー設置担当の技術者パーシー・スペンサーが、マイクロ波照射装置の前で、ポケットに入れておいたチョコバーが熱くなって溶けていることに気づいたのが、「電子レンジ」発明のきっかけでした。
日本では1944年、大日本帝国軍がマイクロ波を空に向かって照射し、航空機を打ち落とす 「新兵器」 の実験を行っていましたが、実用性の面から兵器としての開発は断念。
ただし、実験の中で、離れたところに置いたイモを 「ふかしイモ」にできた、という記録は残っています。
兵器開発としては頓挫したものの、軍事研究所の職員が、この装置の仕組みを「コーヒー豆を炒る機械」に転用して販売し、稼いだとか。
戦争終結後、アメリカの文化が日本に流入され、1954年に東芝 (当時は「東京芝浦機械」) が、 国産初の電子レンジを開発・販売しました。
発売当初は「火を使えば、食品を温めるなんて簡単にできるのに、なんでわざわざ高い装置を買ってまで……?」 と、好意的には受け入れられなかったようです。




