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アルアリン砦 その2

 エヴァン視点


 イージスさんは勇者でも剣聖でもないただの人。それでもスキルには反映されない刀の技量、身のこなしなどが彼を強者たらせた。それが僕が彼の師事を仰いだ理由だ。


 斬り結ぶこと十数分。未だに決着がつかないが、もう勝敗は見えていた。


「なかなかどうして。ここまで……」

「魔法剣──閃光の雷撃(ライトニングボルト)


 光のような速さで駆け抜けエルメドートが幾重もの斬撃を繰り出す。イージスさんは数撃弾くがそれだけでは相殺出来ない。反応は出来ている。だが身体が追い付いていないのだ。僕が魅せられた姿はもう、どこにもない。


「もう、潮時でしょう?何故再び戦場に戻って……」


 そこらのダンジョンのボスと戦う程度なら単独でも余裕だろう。だが、戦場の一騎当千の猛者とやり合うには荷が重すぎる。


「潮時だからこそ戻ってきた。死ぬ場所は己で決める。それだけのことよ。人類のための戦場があるならばそこで散るのが本望」

「敵対するなら意味無いでしょうに……」


 閃光の雷(ライトニングボルト)を受けて、もはや立つことすらやっとの状態だ。にも拘らず切っ先を僕に向けているのは流石としか言えない。


「意味が無いわけがなかろう。……そろそろ良いか」


 衰え、満身創痍の身体。しかし、その目はまだ何かを覚悟している目だ。


「ラミューラは魔王城跡地。リリアーナは──」


 その瞬間。イージスさんの身体から魔力が溢れ出る。


「──王城……エヴァン。早く殺せ。私の理性が残っている間に」

「?それはどういう──」


 僕が問いかける前にイージスさんは受けた傷をもろともせずに刀を構えた。ダメージが無いわけではない。その証拠に血は止まるどころか動く度に血がどんどん流れていく。先ほどまでの様子とは明らかに違う。


「……」

「これは一体」


 困惑する僕をお構い無しにイージスさんは消えた。


 背後へエルメドートを振るう。イージスさんの刀とぶつかった。押し返そうとするが、中々上手くいかない。素早さだけでなく攻撃のステータスも上がっているようだ。恐らく全ての項目が上がっているのだろう。


 しかし、誰かの支援を受けた様子の無いイージスさんがどこにそんな余力を隠していたのかという疑問が浮かぶ。


 唐突なパワーアップ。理性の無い瞳。そして、アルアリン砦の陥落は魅了。レネッフェが何かした?


 イージスさんは戦うことになったとはいえ、話すことくらいは出来ていた。それが今は無言、無表情。まるで人形のようだ。


 僕はエルメドートで刀を滑らせるようにして受け流すと魔法を込める。


「魔法剣──閃光の雷撃(ライトニングボルト)


 光と雷の合成魔法。本来ならただ速い雷撃を放つだけだが、魔法剣はその雷撃を剣に込め、僕の速度も上がる。

 この魔法の難易度は2級だが、比較的簡単な部類に入る。それ故にすぐさま発動出来ることも強みだ。


 少し前までは反応こそ出来ていたが、身体が追いつかず致命傷を避けることが精一杯だった。しかし、今はその悉くを刀で捌いている。


 エルメドートには雷撃が込められているのでイージスさんへのダメージが全く無い訳ではない。刀で迎撃したのなら雷撃は刀を伝ってイージスさんの腕に流れる。


 イージスさんの表情は変わらない。速度に重きを置いている魔法だが、2級なのでそこそこの威力がある。元々切り傷で血が出ており、そこに電流を流されたら顔を顰めるくらいすると思うけど。


 イージスさんは魔法を使えない。才能が無く、無理に覚えることよりも全て自身の鍛練を時間を割いた。だから様々なものに耐性がある。痛みもその1つかもしれない。


 イージスさんの傷は癒えることなく、動く度に血が流れ、僕の魔法剣によってまた傷が増える。だが、これは一方的なものではない。僕の方にもどんどん切り傷が増えていく。


 このままじゃジリ貧だ。理由は分からないけど、イージスさんは受けた傷をもろともしてない。倒せないなら行動を封じるしかない!


 手加減をして峰打ちをする。なんて芸当は今のイージスさん相手には難しい。だけどやるしかないのだ。


 嵐の如き強く、速く、手数の多い斬撃が僕を襲う。全てに対応出来る訳では無い。当然、後手に回るのは僕の番になる。始めとは逆の展開だ。


 こんな状況では魔法を込める機会はない。故に乱れ狂う風(ハイウィンド)で距離を開くことは出来ない。まあ、今のイージスさんならすぐに詰めてくるだろうから魔力が続く限り延々に繰り返すだけになるだろうからどうでもいいか。


 僕は縮地を使う。しかしこれはイージスさんにも使えるスキルだ。それに練度が違うので僕の方が距離がでない。


 僕が後ろに下がるとイージスさんもついてくる。だが、連続で行えば降りきれる。相手は僕の方へ移動するけど、僕はどこの方向でもいいのだから。その判断の差を利用し縮地を何度も繰り返すことで少しだけ余裕が生まれる。


 縮地は一度の発動では一直線に一定の距離までしか移動出来ない。イージスさんならすぐに詰めることが出来るだろう距離。しかし、魔法を込めるには十分が時間がかかる距離だ。


 案の定。あっという間に僕はイージスさんの刀の間合いにいた。


 僕を追いかけている間に刀を納めていたイージスさんは最速の居合いを繰り出す。


 エルメドートでの迎撃は間に合わない。だけど、僕は収納庫から取り出していた短刀をイージスさんへ投げる。イージスさんは怪我をしても問題なく動ける。流石に何かを切り飛ばされることになれば話は別だが、短刀が刺さるくらいは問題ない。魔法剣を見せたのはエルメドートのみ。聖剣だから使えると思ってもおかしくない。何せ僕しか使い手がいないのだから。


 イージスさんの刀が届くより先に僕の短刀がイージスさんに刺さる。


「魔法剣──永久なる監獄(エターナルプリズン)


 イージスさんを中心に結界魔法──永久なる監獄(エターナルプリズン)が発動し動きを封じる。


 もしかしたら、これがイージスさんがここに来た理由なのかな。


 身体が壊れることを厭わずに本気で戦う。それだけで無く、ラミューラとリリアーナの居場所も教えてくれた。恐らくスパイでもしていたのだろう。


 僕はまず魔王城跡地へ向かうことにする。レネッフェが王城へ向かったのは明白だ。王様たちが魅了されていることは明白だ。だから戦力が欲しい。それにラミューラが連れていかれた魔王城跡地の方がここから近い。


 まあ、明日のことはトウヤがなんとかするだろうから、今日はここを征討して寝る場所を確保しないと。


 アルアリン砦にいる兵士を拘束してからトウヤへの状況を簡単に書き記した。

戦闘シーンとか魔法名とか書いてるとギリギリになってしまいました。少し短いし……

誤字脱字がありましたら報告お願いします。

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