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PW(ポール・ウォー)  作者: 材然素天
三章 入学
19/34

入学の朝


 やわらかな春の朝。

 今日は魔法立国防学舎の入学の儀が執り行われるその日だった。

 ヤエカはカカオリフィスの執務室前の鐘を鳴らす。


「入っていいよ」

 いつもと同じ、砕けた調子の返答が返ってきた。

「失礼します」

 ヤエカは部屋に入ると、一礼した。


「おはよう。何か飲むかい?」

 カカオリフィスは戸棚をごそごそと漁っていた。どうやらカップやもろもろのティーセットを探しているらしい。だがモノが多すぎるせいでだいぶ悪戦苦闘をしいられているようだ。


「少しは片づけたらどうです」

 ため息を吐きながら、ヤエカはカカオリフィスが手を伸ばしている戸棚とは別の棚からティーセットを掘り出した。


「ああ。そこにあったか、悪い悪い」

 カカオリフィスは照れたように鼻をかいた。

 ヤエカは手際よく茶を煎じながら、ため息をつく。

「本当は私が片づけたいくらいなんですけど……」


 この執務室には、魔術道具や専門書なども一緒に散らばっている。むやみやたらにヤエカがいじくるわけにもいかないのだ。

「とはいえ、ここにあるモノはほぼすべて一週間以内には使っているわけだし……大目にね?」


 言い訳がましく彼はそう言ったが、驚くべきことにそれは紛れもない事実であった。この部屋に混沌としているものの中に、無駄なものは実はほとんどない。

 これだけのものがあって、物陰に隠れてまったく使われないようなものは存在しないのだ。必要に応じてモノの位置は、ローテーションしており、大体のものは一週間以内の頻度で使われている。

 それは間接的にカカオリフィスの仕事量がいかに多いかも示していた。


 カカオリフィスはヤエカが茶を入れている間に、来客用のテーブルとソファの上からモノをどける作業に移っていた。

 そして、ヤエカがカップを持ってくるギリギリのタイミングで、何とか二人分のスペースをつくる事に成功したようである。

 その、急ごしらえの空きスペースに二人で腰かけた。


「あの……近くはありませんか?」

 三人がけのソファの半分ほどしか片づけられなかったので、カカオリフィスとヤエカが座ると非常に狭苦しい状況になった。


 しかし、カカオリフィスは認めたくないのか、しらばっくれた顔でカップを手に取る。

「そうかな? 君太ったんじゃないかい?」

「…………」

 無言で、ヤエカはカカオリフィスを睨みつける。カカオリフィスは少し居心地が悪くなったらしく、お茶を一気に飲み干しソファを立った。


「そういえば、今年の新入生のデータファイルがあるんだ」


 カカオリフィスは話をかえるように、執務机のほうに歩を進めながら言った。

「今年も結構粒ぞろいでね。ユミトを始め、なかなか期待できそうな人材が多いよ」

 彼は机の一番上にあったファイルをヤエカに投げた。ヤエカはティーカップを片手に持ちながら、難なくそのファイルを掴みとる。

 カップを一度ソーサーの上に置くと、彼女はさっそくそのファイルを開いた。


「それは、特別選抜クラスに所属が決定した生徒のデータだね」

 ヤエカが読み始めると、カカオリフィスはそう言った。

「特別選抜クラス?」

 耳慣れない単語を聞いて、ヤエカは反問する。


「知らないの?」

 意外そうにカカオリフィスは顔を傾けた。

「はい」

「君はもう知っていると思っていたよ。……特別選抜クラスっていうのは、今年新設されることになった特進学級みたいなものさ」

「一般のクラスと何が違うのですか?」

「何から何までさ」

 にやりと、カカオリフィスは笑みをつくる。そして、饒舌に続けた。


「カリキュラムがまるで違う。

 学年を問わず特別優秀な生徒を集めて、即戦力の生徒を効率的に育てようってのが、このクラスの方針らしい。

 だから、授業進度も一般学級とは比べものにならないくらい速い。そして、付いてこられないものは即一般学級落ちってわけだ。

 でも反対に、授業に付いていければ、早期卒業も認められるらしいね。……もっとも、そんな学級じゃなくても、飛び級して、三年で卒業してしまう者もいるわけだけど」

 少し茶化すようにカカオリフィスはヤエカを見た。

 彼が言ったのは、紛れもなくヤエカの事だった。


「そういうカカオリフィス様は二年で学舎を卒業されたと聞きましたけど?」

「僕は特別さ。大魔法術士だぞ? それも最年少の」

 カカオリフィスは、冗談としてそう言った。だが、彼が天才中の天才だということは、紛れもない事実であった。


「……けれど、私は近いうちにあなたをも超えなくてはなりませんので」

 ヤエカは平然とそう返した。

 地上最年少で大魔法術士の位についた超の付く天才と張り合うのは、やはり馬鹿げているかもしれない。

 しかし、ヤエカの目標は遥か高みにあるのだ。そのためには、カカオリフィスも超えるくらいの気概がなくては成しえない。


「師を超えるとは大きくでたものだね。でも、君のそういう所は嫌いじゃないよ」

 心底愉快そうに、カカオリフィスは含み笑いをつくった。


「光栄です。……ところで、特別選抜クラスの話に戻りますが、一体誰の意向で、このような革新的な教育施策を行うに至ったのですか?」

「ラングレン様だよ。あの方は、かねてより教育の重要性を訴えていたからね。ラングレン様は今年から学舎長の役に就かれた。専念するために、大魔法術士を辞すほどのご覚悟でね」


 大魔法術士は国防を担う為に、日々様々な仕事を任される。様々な義務と成果を求められる存在なのだ。

 だからラングレンは、教育の第一任者になるにあたって、大魔法術士という肩書きが却って邪魔になると考えたのだろう。そして、その称号を自ら手放したと。

 それは、教育に関すること以外の都市の決定に発言力を失うことにも繋がるが、それでも彼は教育を取ったのだ。そこからは堅剛な覚悟がうかがい知れる。


「なるほど。芯の通ったお考えの末の施策でありましたか」

「そういうこと。まあ最初だし、上手くいくかはわからないけどね」

 ヤエカはデータファイルを開いた。そこには、特別選抜クラスに配属が決まった新入生の情報が記載されている。


 そのファイルの一ページ目でさっそくヤエカの手は止まった。カカオリフィスはそれを見逃さない。


「どうだい。ユミトの資質は、中々のものだろう」

 まるで我が事のようにカカオリフィスは快活に言った。


 ファイルには名前、出身地、簡単な経歴、そして体質データが記されている。

 ……なるほど、確かにユミトの体質データはどれも高数値だった。アグネタが手放すことに躊躇を覚えただけのことはある。

 体質だけを取れば誰の目から見ても恵まれたものといえるだろう。


「彼も問題を起こさなければ、今日の新入生総代に選ばれたかもしれなかったけどね……君みたいにさ」

 カカオリフィスは少し口惜しげな口調でそう言った。

 新入生総代とは、今日執り行われる入学の儀で新入生を代表して檀上に立つ者の事である。


 ヤエカは正規のルートで入学したわけではなかったが、この白の本国に運ばれてきたのが学期の区切り目ということもあり、ちょうど正規のルートで入学した生徒と同時に入学の儀に参加する事ができた。そしてその資質を高く買われた彼女は新入生総代に選ばれたのである。


 ユミトも、新入生総代に選ばれておかしくない資質があった。しかし此度の反逆行為によってその候補から外されてしまったのだ。


「姉弟そろって総代に選ばれていたらエリート姉弟って箔がついたのにね」

「興味ありません」

 ヤエカはそっけなく返す。

 それは本音だった。ヤエカは見てくれにはあまり興味がない。彼女が重視するのはいつでもものの本質の部分なのだ。

 周りにエリートと思われようが、そうでなかろうが興味はない。自分に実力がある事のみが、ヤエカにとって重要なのだから。


「でも実際、新入生総代に選ばれればいい事もあるわけだろう?」

 カカオリフィスはヤエカの腰に提げられた一振りの直刀に目を置いた。


 その刀は、時流刀〝ルクルイ〟。名刀中の名刀であった。

 白の本国に数えるほどしかない〝古式魔働剣(こしきまどうけん)〟と呼ばれる代物だ。

 ヤエカがこの刀を一番始めに授かったのは、新入生総代に選ばれた時である。


 新入生総代に選ばれた者はこの古式魔働剣を一振り授かる事が出来るのだ。

 儀式の一環としてだ。

 だが、完全に私物となるわけではなかった。古式魔働剣の所有権は、学年が変わる毎に、いくらでも移る機会があるのだ。


 古式魔働剣は、その年の実力トップの者に渡される。

 そのため、学年が移り変わる際に主席の座を奪われれば、新しい主席の者に古式魔働剣の所有権が移る事になる。

 つまり、卒業が決まるまでは、暫定的な所有権しか持てないのだ。

 また、飛び級をした場合は、古式魔働剣を奪い合う相手は、入学年度が同じ生徒と決まっていた。


 そして、三年という短期間で卒業を認められたヤエカは、他の誰にも、所有権を譲ることなく、卒業までこぎつけた。

 そのため、現在〝ルクルイ〟はヤエカの腰に提げられているのだ。


「古式魔働剣は、白の本国でも保有数に限りのある宝剣だ。やっぱりユミトは惜しいことをしたね」

 古式魔働剣は、ティクオンと同じ古代戦争の遺物なのだ。その製造の仕方も秘められた本当の力もいまだ詳らかになっていない。

 そして、中でも一番の謎は、古式魔働剣に宿る〝自我〟であった。古式魔働剣は、剣でありながらにして、それぞれに固有の性格があり、異なる考えを持っていた。


 現代の技術でも、古式魔働剣を模倣したものを造ることには成功しているが、その〝自我〟を植え付ける事はできていない。そして、性能もオリジナルには遠く及んでいなかった。

 その、模倣品の方は、古式魔働剣に対して、ただ〝魔働剣〟と呼ばれていた。


 魔働剣は、eストレージが埋め込まれているため、マナを貯めておく事ができる。

 しかし、ティクオンと同じように、自らでマナを生み出すことはできなかった。

 魔働剣は、所有者にマナを補充してもらい、その与えられたマナを使い独自の強力な魔法術を行使するのだ。


 また魔働剣には、その剣特有の魔法術の系統と開放段階がある。

 剣によって、得意とする魔法術の種類や強さに違いがあるというわけだ。

 また、第一展開、第二展開……といった具合に、力を段階的に開放していくようになっている。基本的には、解放段階が進むにつれて、剣の力はより高度なレベルにまで引き出されることになるのだ。


 ヤエカの持つ古式魔働剣〝ルクルイ〟は時間魔法術の行使を得意とする一振りだった。

 だが、開放段階については、いまだどこまであるのか把握できていない。


 ルクルイには意識もあり、魔法術によって喋ることも出来るのだが、彼は無口な性格だったため、開放段階について尋ねても、答えを返しくれないのだった。

 ヤエカは、現状、開放に成功している第三段階までしか確認できておらず、その先があるのかはわからなかった。


「……古式魔働剣の所有権は卒業まで変動する余地のあるものですので」

 ヤエカはそう言った。

 新入生総代になり損ね、ユミトは惜しい事をしたと主張するカカオリフィスに対し手の返答だ。


 ヤエカの言う通り、古式魔働剣の所有権は年次進行ごとに移動する余地がある。

 だから、例え新入生総代になり損ねたとしても、古式魔働剣を永久的に逃した事にはならないのだ。

 次の年次進行の際に主席を取れれば、その時に所有権は奪い返せる。


 しかしカカオリフィスは首を振った。

「でも、その年度に授けられる古式魔働剣は、新入生総代の生徒の、魔法術の系統に最も合致したものが選定される。つまり、ユミトではなく今日その魔働剣を授かる者の為に選ばれるというわけだ」


 人にはそれぞれ、自分の得意とする魔法術の系統があるのだ。

 そのため、自分の適性のある魔術系統と、魔働剣の魔術系統を揃えることが基本とされていた。


 しかし、その入学年度に授受される古式魔道剣は新入生総代に選ばれた者の魔法術の系統に合わせて選ばれる。

 ヤエカの入学年度に授受されることとなった〝ルクルイ〟も、彼女と同じ時間魔法術に適正のある魔働剣である。


 今年の新入生総代に選ばれた人間がユミトと同じ系統の魔法術に適性があるとは限らない。つまり、仮に次の年次進行でユミトが主席をとっても、やはり彼の肌に合った古式魔働剣を手にすることはできないのだ。


「やはり、彼はもったいない事をしでかしてしまったようだね」

「もう過ぎた事です」

 ヤエカはユミトのページをめくった。


 次のページには女生徒の情報が記されていた。プラチナブロンドの髪に、澄んだ青い瞳。全体的に色味が薄く、引き締まった顔つきをしていた。


「その子が今日の入学式で新入生総代に選ばれた子だね」

 カカオリフィスが補足を加えた。

 名前は、イヴ・ブラックストーン。


氏名(うじな)持ちですか」

「ああ。誉れ高き貴族出のお嬢様ってわけだ」

 白の勢力内で氏名……つまりファミリーネームを持つ者は限られている。それは基本的には大魔法術士とその部隊に所属している魔法術士だけだった。


 大魔法術士はその称号を授かると同時に、氏名も授かる。そして、その大魔法術士の部隊に所属した魔法術士は部隊長である大魔法術士の氏名を名乗る事を許されるのだ。


 しかし、その正規のルートではなく、生まれながらに氏名を持つものがいた。

「貴族……つまり大魔法術士の子孫というわけですね」

 ヤエカは呟く。

「そういうことだ」


 大魔法術士の親族もまたその氏名を名乗る事を許されていた。

 大魔法術士を輩出した家系はそれだけで広く敬われる存在となるのだ。

 魔法術の適性と遺伝との相関関係は、いまだ証明されたわけではなかったが、優秀な人間の子孫はまた優秀という考えは広く用いられていて、魔法術の才能に関してもそうだった。


 彼らは特権階級として、本国とダウンタウンの間にある貴族領と呼ばれる居住スペースで、贅を凝らした生活をすることが認められている。


 そして、イヴ・ブラックストーンは入学前、つまり大魔法術士の部隊に入る前から氏名を所有している。つまり彼女は貴族出身ということになるのだ。


「……しかし、ブラックストーンという氏名は記憶にありませんね……」

 ヤエカは首を捻る。

 貴族であるという事は、その一族に大魔法術士がいるという事になる。そして、ヤエカは直近三代くらいまでの大魔法術士の氏名は把握している。

 だが、ブラックストーンという姓は聞いたことがなかった。


 カカオリフィスは頷いた。

「無理もないね。ブラックストーン家が大魔法術士を最後に排出したのは何代も前のことになるし」

「では……」

 ヤエカは何かを察したようにカカオリフィスの顔を窺う。

 カカオリフィスは再び頷いた。


「ああ。ブラックストーン家は没落寸前の貴族だ」


 没落寸前。不穏な響きに、ヤエカの顔はわずかに曇る。

 貴族権には剥奪の制度があった。

 それは考えてみれば当然のことでもある。

 既存の貴族家以外の出の者が大魔法術士になる度に新たな貴族家が生まれてしまう事になるのだから、放っておけば貴族家が増えすぎてしまうのだ。


 そのため、貴族家には俗に言う没落の制度がある。

 大魔法術士の排出が止まっている期間が長い家名から、適宜貴族権が剥奪されていくのだ。

 優秀な遺伝子を持っていると証明できなくなった貴族から蹴落とされていくという意味合いを持つ制度なのである。


「ちょっと気になって調べてみたんだけど、あと三人ほど新たな家系から大魔法術士が出たら、ブラックストーン家は没落するようだね」

「そう……ですか」

 ヤエカは遠慮がちに相槌をうつ。

「まあ、あんまりお節介な推測はしないべきだろうけど、おそらくブラックストーン家にとっては彼女が最後の希望なんだろうさ」

 

 没落を回避する方法は二つしかない。

 一つは、婚姻によって他の貴族家の一員となることである。こうすれば、相手の家に籍をいれられるのだ。

 しかしこの場合は、嫁ぎ先あるいは婿入り先の貴族の名に入ることになるので、結局代々受け継いできた氏名を守ることは出来ない。

 あくまで中の人間だけが没落を回避できるというだけなのだ。そのため、完全に貴族家そのものを守るには、実質方法は一つしかないと言える。


 それは、一族の中から新たな大魔法術士を輩出することである。


 大魔法術士が出れば、没落レースの順位を繰り上げる事ができる。

 完全な形で、また新たに貴族家としての尊厳を取り戻すことができるのだ。


 ヤエカはもう一度、ファイルのイヴに目を移す。

 作り物のようにきれいな顔をしていたが、彼女の顔には、やはり色味がなかった。

 感情らしきものは、少なくとも表面上には現れていない。ひどい抑圧の中にあるようなそんな固さを持った顔付きに見えた。

 小さな両肩に一家の尊厳を背負わされた彼女は一体何を思うのか。田舎から出てきたヤエカには想像しがたい心情だった。しかし、


「彼女の表情、少し君に似ていると思ったんだ」

 カカオリフィスは、手近にあった専門書を読みながらそう言う。

「そんな事はないと思います」

 ヤエカはすっぱり否定した。

 相手は貴族出の将来を期待されたお嬢様、それに対して、自分は田舎生まれの死にぞこないだ。共通項はおよそない。ヤエカはそう思っていた。


「自覚症状はなしか」

 言いながらカカオリフィスはほくそ笑む。

「ともあれ僕は今年の新入生も面白そうで安心したよ」

 カカオリフィスは別の専門書に手を伸ばしながら、そんなことを言う。


「面白そうというのは不謹慎なのでは?」

「そうかな? 誉め言葉のつもりなんだけど」

「……まあ、あなたはそうですよね」

 カカオリフィスらしいともいえる返答に納得すると、ヤエカはファイルを閉じた。

 そして、少し伸びをして、窓から差し込む陽だまりに手を伸ばす。


「そろそろ大講堂へ向かいましょうか?」

 ぼんやりと外を眺めながらヤエカはそう提案する。

 大講堂とは白の本国内の学園エリアにあり、本日入学の儀が執り行われる場所でもあった。


 カカオリフィスには来賓席が用意されている。そして、ヤエカも彼にお供するつもりだった。当然、時間に間に合うように、その大講堂に向かう必要がある。


 ヤエカの言葉を契機に、カカオリフィスはぱたんと本を閉じた。

 そして、彼はイスの背もたれにかけていた外套を翻すと、そのまま羽織るように肩にかける。


「そうだね。そろそろ向かうとしようか」


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