『其の十八』 温泉
俺はなんとか3人を納得させ、先に温泉に入った。
温泉は室内と屋外に二箇所あり、屋外は空がよく見え、星々が綺麗に夜空を照らしていた。
近くには川が流れているのか、木々が揺らめいている音なのか分からなかったが、鈴虫と綺麗なハーモニーを奏でていた。
そして広さは大人数が入れるぐらい広かったが、利用客は俺しかいなかった。
「贅沢だな………」
俺は女将から貸してもらったシャンプーとボディーソープを手に取り、屋内のシャワーを使った。
「にしても色々あったな」
頭を洗いながら考えた。
この世界に来てイノと出会った。
記憶がない俺に旅を誘ってくれた。
そしてヒモリと出会い、シラヌイとも出会った。
神様でも悩みがあるし、辛い過去も誰にも言えないような事もあると気付かされた。
「よし、早く洗って外の温泉入ろう」
そして頭に付いている泡を落とそうとした瞬間、大きな音が温泉の出入り口からした。
「なっ……まさかイノ達か?!」
「そこに居るのは分かってる!出ていけ早く!」
シャンプーのせいで目が開けれなかったが、威嚇するように立った。
その瞬間、足がツルッと滑り、俺は大きく転んだ。
そして俺の意識は消えていった。
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「ん……ここは?」
目を開けると誰かが俺の顔を覗いていた。
「うわ!」
「駄目だよ、しっかり横にならないと」
その人物は俺の頭を優しく抑え、横にさせた。
俺は何が起きているのか分からなかったが、後頭部になにか柔らかい感触があった。
状況的に膝枕されている状態だった。
「どういう状況なんだ?!」
あたりを見ると、外の温泉の場所にいた。
「君の匂いに惹かれてね、中に入ったら君が倒れてしまったんだ」
「まさか……あの時扉の音がしたのは君だったのか?」
「そうだよ、いきなり怒鳴っててびっくりした」
「……すまなかった」
気まずい雰囲気に俺は部屋に戻ろうと動いた。
「もう大丈夫だからそろそろ行くかな」
「だめ……」
「え、なんでだ?」
「無理してはならない、星が君を心配してる」
「星……?」
空を見ると先程より綺麗に輝いていた。
「あの星はね、我が守り抜いたものなんだ」
「守り抜いた……つまり君は神様なのか?」
するとその人は静かに頷いた。
「我の名はアマネ、星の神様だ」
「アマネ……」
優しく微笑む姿はどこか寂しさもあった。
「にしても君は沢山の神様と旅をしてるんだってね」
「どうしてそれを?」
「星達が教えてくれたんだ」
「つまり何もかもお見通しって訳か……」
さすがは神様ってところか……
「まあ……助けてくれてありがとうな、だけどもう行かないと……」
俺は腰にかけているバスタオルを落とさぬように立った。
そしてアマネの姿を見ると、とても美しかった。
髪の色は夜空のような美しい色、そして星の形をした髪飾りなどをつけていた。
姿は紫を基調とした和服のような、少し露出がある服装だった。
「も……もしかして君は女性なのか?」
「女性……?わからない、そんなのは気にしたことない」
「まあ神様……ってのはそういうものなのか……?」
するとアマネは静かに言った。
「確認するか?我はどちらでもいい」
その瞬間アマネは服を脱ごうとしていた。
「まてまて!俺を犯罪者にしようとするな!」
「だって君が知りたがっていたから」
「そのままでいい!そのままの君がいい!」
するとアマネは不思議そうにしていた。
「そうか……わかった」
俺はなんとか回避し、温泉から出ようとした。
するとアマネは言った。
「我もついてく」
「え……?」
すると温泉の出入り口からイノの大きな声が聞こえた。
「おい!レイ!いつまで入っておるのじゃ!女将が料理を持ってきたぞ!」
俺は固まった。
もしこの状況を見つかると、俺は殺されるかもしれない。
「返事がないの……もしかして溺れたのか?!」
「い……いや待って──」
俺の言葉が間に合わず、イノが俺達を凝視した。
「……貴様何をしているのじゃ」
ああ、終わった。




