『其の十二』 お祭り
時は少し経ち、空の色はガラッと変わっていた。
「黄昏時かの」
「そうだな」
俺達は忙しく動く集落の人達を見ていた。
屋台の準備をするもの、小さな子供たちを連れている者、指示を出している者。
するとヒモリは俺達に提案した。
「時間も丁度いいし、少し回っていかない?」
「そうじゃの、屋台も少しは回れるだろうの」
そして俺はシラヌイに体調の具合を聞いた。
「大丈夫か?あまり無理するなよ?」
「うん、大丈夫さ!」
こうして俺達4人は屋台を回る事にした。
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「おお!見てみろレイ!綿あめがあるぞ!」
イノは嬉しそうに見て回っており、ヒモリは焼きそばを食べていた。
そしてシラヌイはおどおどとしながらも楽しんでいた。
「おいおい、子供じゃないんだから……転んだらどうするんだよ」
「いいのじゃいいのじゃ!ほら、早く食べようぞ!」
イノは俺の手を握り、綿あめが売ってある屋台へと向かった。
「あ……まってよ!」
「全く、イノは祭りが好きなんだから……」
屋台の前に着くと、店主のおじさんが嬉しそうに話した。
「おお!これはこれは、神様のおいでですか!」
「おっちゃん!綿あめ4つ!」
「はいよ!」
おじさんの手つきは職人並みであった。
砂糖が焦げる匂いが何処か懐かしく、テンションが少し上がった気がした。
「それで……イノはお金持ってるの?」
ヒモリはジト目でイノに聞いた。
イノは自分の懐をゴソゴソと漁ったが、出てきたのはゴミしかなかった。
「あぅぅ……すまないが出してくれぬか……?」
「嫌よ!これは私の大切なお賽銭から出してるのに!」
「頼むぅぅぅぅぅ!妾は久しぶりに甘いものが食べたいのじゃぁぁぁ!」
「ご……ごめん、僕もないや……」
その光景を見たおじさんは笑いながら話した。
「はははは!神様からお金を貰うだなんて、そんな罰が当たることはしないでくれ!」
「ほら!特別にお狐様のは大きくしといたぞ!」
おじさんから手渡された綿あめをイノは手に取ると、涙を流しながら感謝した。
「ありがたき幸せじゃ!そなたはいつか良いことがおきる!」
「ありがとうな!」
そして最後におじさんは俺に綿あめを渡してくれた。
「ほれ坊主!」
「あ、ありがとうございます」
「可愛い神様に囲まれて幸せそうだな、大切にしてやれよ?」
「そういう関係じゃないわ!」
そうツッコミすると、イノは食べかけの綿あめちぎって、俺の口に放り込んだ。
「んっ……なにするんだよ」
「なに、いいじゃないか」
するとシラヌイは口に綿あめを加え、俺の肩をトントンとした。
「んーっ……んっ」
「なにしてるんだ……?」
その瞬間、イノがシラヌイの綿あめを奪い食べた。
「あっ!なにするんだよ!」
「ふんっ……発情期の狼め、少しは慎め!」
「もしかして……嫉妬かい?」
「うるさいの!」
その光景を見ていたおじさんは笑っていた。
「モテモテだな!坊主!」
俺は頭を抱えていると、ヒモリが俺の耳元で話した。
「その……恥ずかしいんだが射的という物をやってみたいんだ」
「え?やって来れば良いんじゃないか?」
「その……」
ヒモリは言いづらそうに話した。
「私こういうのは始めてなんだ……だからその……」
俺は察した。
「よし、行こう!こいつらは放っておいても大丈夫だろ」
「ありがとな」
こうして俺とヒモリだけで射的屋に向かった。




