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第2話「読まれる影」

影丸は明確な異常に気づいていた。関ヶ原の空気はただの戦場のそれではない。まるで見えない誰かが全体の流れを俯瞰し、事前にすべての選択肢を潰しているようだった。


影丸が一歩動けば、その先はすでに塞がれている。別の道を選べば、その道自体が存在しなかったかのように消えている。偶然ではない。明確な“先読み”が発生していた。


森の奥から霞の声が響く。


「あなたは遅い」


影丸は即座に否定する。


「違う。遅いのではない。すでに読まれているだけだ」


その瞬間、影丸は理解する。これは戦ではない。戦の前提条件そのものが操作されている。


まだ刀は抜かれていない。兵も動いていない。それでも勝敗だけが先に確定へ向かっている。


霞は静かに告げる。


「殿はもうこちら側よ」


影丸は目を細める。この戦は物理ではない。情報でもない。


意思そのものが、戦場の素材として扱われている。


関ヶ原の地に存在するすべての判断が、誰かの思考によって事前に整形されているようだった。


影丸は初めて、自分の認識そのものが試されていることを理解する。さらに、その背後にもう一段深い意志の層があることを感じ取っていた。

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