表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話「見えない戦場」

挿絵(By みてみん)


関ヶ原の地は異様なほど静まり返っていた。鳥の声も風の流れも途絶え、まるで世界そのものが呼吸を止めたかのような沈黙が広がっている。この静けさは平穏ではなく、巨大な戦の直前にだけ現れる圧力だった。


影丸は服部半蔵の命を受けた観測者として潜んでいた。彼の役割は戦うことではない。戦場の流れそのものを観測し、必要なら修正することだった。


しかしその瞬間、影丸は違和感を覚える。自分が見ているのではなく、“見られている”感覚があった。


森の奥に甲賀忍者・霞の気配がある。まだ姿はないが、確実にこちらの思考を先回りしている存在だった。


関ヶ原はすでに戦場ではない。意思が交錯し、現実そのものが書き換わる領域へ変わっていた。


影丸は静かに呟く。「もう始まっている」


その言葉の直後、風が一度だけ揺れた。それは戦の開始を告げる合図のようでもあり、誰にも聞こえない宣告のようでもあった。


その揺れはただの自然現象ではない。見えない意思が動き出した証拠だった。影丸は周囲をさらに深く観測する。関ヶ原という土地そのものが、別の規則で動き始めていることを感じ取っていた。


そして彼は理解する。この戦はまだ始まっていないのではない。すでに始まっているものを、人がようやく認識し始めただけなのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ