表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

第11話「勝者の空白」

関ヶ原の戦は終わった。だがその終わりは、誰もが想像していたような勝利の実感を伴うものではなかった。そこには歓声も涙もなく、ただ静かな空白だけが広がっている。


影丸は戦場の中央ではなく、その“外側”に立っていた。勝者と敗者が分かれたはずの場所で、しかしその境界線はすでに曖昧になっている。


徳川家康の勝利は確定している。それでもそこに「勝った」という確かな実感は存在しない。まるで誰かがあらかじめ用意した結末を、時間がなぞっただけのようだった。


霞は遠くにいる。だが消えてはいない。むしろこの結果の中に溶け込み、戦そのものの一部になっているように見える。


影丸は静かに呟く。


「これは勝利ではない」


その言葉に対して返答はない。ただ風だけが関ヶ原を通り抜けていく。


戦いは終わったはずなのに、何かが終わっていない。むしろ本質的な部分は、まだ残っているような感覚がある。


影丸は理解する。この戦の本質は勝敗ではなかった。何か別の構造を成立させるための過程だったのだ。


そしてその“空白”だけが、戦の後に残されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ