第00話 プロローグ
※12月18日。プロローグを作りました。
あるところに、少年がいた。
人の上に立つ才覚どころか人として扱われる能力も持たず、蔑まれるだけが能の少年だった。
寝る間を惜しんで勉強しても成績は下の下の下。血反吐を出す鍛錬を積んでも格闘技術は稚拙そのもの。何をしても全無能な自分に少年は常日頃から絶望していた。
そんなある日、少年は少女と出会った。
世界の純粋な部分だけを集めて作られたような、美しくて儚く、そして真っ白な少女だった。
初めてその少女を見た時、笑ったらきれいだろうな、と少年は想像した。だが少女はある境遇に身を置いていたことにより感情を失い、笑顔の浮かべ方を忘れてしまったと語った。
それでもこの娘の笑顔を見てみたい。そう願った瞬間から少年の運命は変わり始めていた。
今、少年は漆黒の夜空の下で無数の鉄血の前に立ちはだかっている。
地上では鉄の猛獣が轍を刻み、上空では鋼の怪鳥が空気を叩く。そしてその先陣を切るように武装した猛者どもが隊列をなして行進していた。
対する少年は焦点の合わない目をしながら口の端から血を垂らし、制服の下で数え切れない傷をこしらえていた。身体に芯が通っていないようにふらついていることから分かる通り、立っているのも不思議な状態だ。
それでも、少年は魔鋼の拳を握り締め、天銀の脚で駆け出した。
少女の心を殺した世界に復讐するために。
少女に笑顔の素晴らしさを教えるために。
これは、少年と少女が笑顔を探す物語。




