43 激闘の果てに
いつも誤解報告ありがとうございます!
とても助かってます!
ーーメルトに狙われるように行動する、物理攻撃をしてきたらそれを止めてくれるか?ーー
俺が言った言葉通りラピスは俺を守って攻撃してきたメルトの腕を凍らせた。
そしてたぶんここで奴は……
いた! 狙い通りメルトは地面の中から顔を出している!
「頼む、グレン!」
後はグレンがなんとかしてくれるはず!
「ヌオッ!?」
近付いてくる、グレンに気付き慌ててメルトは地面に顔を引っ込めた。
無駄だ、溶岩は干上がっていて地面に潜ったことはグレンにもバレてる。
「うおおおおおおぉ!」
地面の中から気合の入った声がした。
ズドォォォォォォォォ
地面を突き破り火柱が上空に突き抜けていく。
やった!
火柱がの中からグレンが抜け出てきた。
手にはヒートストーンを握ってる。
メルトを倒したんだ!
「さすがグレン、簡単に倒しちゃったな」
土の中に潜ったせいで若干泥は泥はついてるけど、当然のように無傷だ。
「サレム、お前俺を利用したな?」
えっ? メルトを倒すのをグレンに任せてたことか?
「あ、あれはグレンなら何も言わずにわかってくれると思ったからで……俺よりもモンスターを倒すことを詳しいだろうから信じてたって言うか……」
ヤベェ……やっぱ赤門クラスの人に何も言わずにぶん投げるのはマズかった……失敗した……
「プッ……ヒャハハハハハハハハッ!」
はぁ……? 笑い出した……
「本当におもしれぇなお前は! 俺を駒として使う奴なんて今の騎士団にいねぇぞ!」
駒……?
「そんな風に思ってた訳じゃ……」
「クククク……いやなに、せめてるんじゃねぇ、俺に怖気付いてそこまでやれる度胸のある奴がいねぇって話だ」
確かに……これだけ熱血で物怖じしないグレンに迫られたらそりゃ怖えよ……
「ねえねえサレムさん、グレンさんの持ってる宝石どうされるんですか?」
そうだった、グレンはヒートストーンを持ってる……
「あの、その宝石はやっぱり持って帰るのか?」
「ん? これか……」
グレンはヒートストーンを握りしめた。
ボッ……
これに呼応するようにヒートストーンから火が上がり、グレンは火をパクリと口にした。
「うーーーーん……物足りねえなぁ」
そういうとヒートストーンを握り潰し粉々に破壊した。
「あっ! そんなことしていいのか?」
目的のヒートストーン、せっかく見つけたのに……
「うめぇもんってのはな、何を食うかってより、いつ誰と食うかってのが大事なんだよ」
「はぁ……」
それじゃ、この依頼自体意味がなかったんじゃ……
「ここでの火は最高に旨かったぜ」
嬉しそうだな……依頼主が喜んでるならなんでもいいか。
ダンジョンで戦ったり合間に火を食ってる時とかも、すごい楽しそうだったもんな。
そういえばダンジョンを囲んでいる火が収まってただのゴツゴツした岩になってる。
このダンジョン全体をメルトが燃やし続けてたんだろうな。
そんな奴をよく倒せたもんだ……
「とりあえず、依頼自体は解決ってことでいいのか?」
ヒートストーンを破壊したのは本人だし、手に入れる意向どうしようがこっちには関係ないはずだ。
「ああ! ありがとな、すげえ楽しかった……なんて言ってられねぇんだよな、近場にこんなダンジョンができたってんなら街の奴らは不安だもんな」
ニヤケてたグレンの顔が急に引き締まった。
グレンはあっさり倒してたけど、ここにいたレッドゴーレム1匹とっても、聖騎士だって倒せない程の高レベルのモンスターだった。
同じようなダンジョンがどんどんできてきたら終わりだ……
騎士団総動員で対策に当たるべき事態だよなこれは。
「過去にこんな危険なダンジョンが近くにできたなんて聞いたことがない、何か起きてるのかもしれないな……」
騎士団から離れたせいで漠然とそう思うのか……
それとも実際に騎士団に、っていうか本当にこの国に何かが起きてるのか……
「なぁサレム……」
グレンが急にかしこまった顔で俺の真向かいに立った。
「なんでお前みたいな奴が追放されてんだよ?」
「そ、そんなこと俺に言われても……」
どうしたよいきなり……
俺だって追放された理由なんてわからないけど、仕方ないだろ……
「お前さえよければな、来ないか? 赤騎士団に」
「えっ!?」
戻れるのか? 騎士団に……
騎士団長になるとそんな権利があったりするのか……?
騎士に戻れる……
嬉しくない訳がないけど……
「よかったじゃないですか! サレムさん、騎士に戻れるチャンスですよ!」
ラピスは俺が追放されたことを自分のせいだと気にしてたから嬉しいんだ。
「どうだ!? もしその気があるなら俺から掛け合ってみるぞ!」
あまりに予期してない急展開だ頭の整理が追いつかない……
始めたばかりの『なんでも屋』はこのまま閉店か……
リューガルは山に帰ればいいか、シロナは、俺の話を聞いたらますます騎士になりたがるかもな。
悩む必要なんてない、騎士に……クーガの騎士団に戻ることができるかもしれないんだ!
「グレン! 俺な……」
「いた! グレン様!!」
なんだよ! すげえ大事なところだぞ!
近寄ってきたのはダンジョンを管理してる黒騎士だった。
「なんだ若造、そんな焦ってよぉ」
「はっ! 申し訳ありません、ですが大変なんです!」
大変……?
この黒騎士の焦った表情……悪いことがあったに違いない……
「早く教えてくれよ、何があったんだ?」
全速力で走ってきた黒騎士は息を整えて話し出した。
「赤騎士団の騎士達が何者かに殺されました!」
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