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44 騎士団殺人事件

 グレンと一緒に大急ぎで城へ戻って来た。


 場内がいつになくざわついてる、赤騎士団が殺されたことで騒然としているのか……



「グレン様、今までどちらに!? 大変なんです!」


 城にいた赤騎士が慌てた様子で話しかけて来た。


「話はいい、やられたの奴らは医務室か!?」


「いえ……霊安室です……」


 グレンの表情が一気に曇っていった。


「くそ……」


 その場にいた赤騎士に返事をすることもなくグレンは霊安室へ駆け出した。


 仲間を大事にしてるグレンだ、よほどの心境なんだろうな。


「あなたは前に追放された、確か『スマイル』さんですよね? なぜうちの騎士団長と一緒にいるんですか?」


「『スマイル』は蔑称な、サレムって言う名があるんだ」


 この赤騎士見たことない顔だ、きっと新入なんだろうけど……あいかわらず変に有名人だな俺……


「し、失礼しましたっ!」


 新米赤騎士はビシッと姿勢を正して俺に詫びを入れた。


 なんかひねくれてなさそうな奴だ、こいつなら色々教えてくれそうだ。


「何があったのか教えてもらえないか?」


 赤騎士団の主業務のモンスター討伐でだって死者が出ることなんて滅多にないのに、そしてこの城内の騒ぎ様……事件が起きてるに違いない。


「はい、うちのクラッチさん、ラルフさん、ハイディールさんが場内で殺されていたんです」


「モンスターの奇襲とかは無いか?」


 討伐時に恨みをかって上位モンスターに狙われたってことはないのか?


「おそらくそれは……モンスターを誰も見てないですし、なにより……」


 新米赤騎士が口籠った。


「どうした? まずいことなのか?」


 バツが悪そうに俺に近付いてヒソヒソと話し出した。


「あまり大きな声では言えませんが、3人とも剣で斬られた痕があったんです……」


「斬撃痕が……?」


 ってことは、その3人を殺したのは騎士……




 考えたくないけど、黒騎士のことが少しよぎっていた……


 黒騎士は追放した騎士を殺してる……

 やっぱり違うな、今回は現役の騎士達なんだ。


 しかもこんな目立つ方法でやってしまったら騎士だけじゃなく城や国全体にまで変なウワサになってしまうぞ……



 何が起きたのかは把握できた、グレンを追いかけよう。


「サレムさん、グレンさんがどなたかと接触してるみたいですよ」


 誰かと? ラピスが感知してくれたみたいだ。


 霊安室だったよな、このタイミングでグレンと会う奴って……

 そこに俺が言っていいのかわからないけど……





 城の剣幕もあって、前と同じくただでさえ守りの薄い城の警戒がより手薄になっていた。


「事件が起きてるのにこんな簡単に中に入れていいのかよ」


 天下のクーガの騎士団が今やこんなザル警備なんて悲しくなってくる……

 お陰で簡単に霊安室までたどり着けてしまったけど。


 グレンは中にいるのかな。感知でグレンのことを探ってみるか。


 おっ、これだ、間違いない……この生命力は見覚えがある。

 グレンはここにいる、そしてもう一人ラピスのいうとおり誰かしらいる。


 グレンに負けず劣らずの強そうな生命力だ。

 騎士団長クラスの相手と話をしてるのかな。


 こっそり中に入って様子を伺ってみるか。



ギィィ……


 ワンフロアの部屋だから、すこし扉をずらせば音くらいは聞こえるはず。


「これ以上身勝手な行動は慎むことだ、それが君にも、そして大切にしてる赤騎士団のためでもある」


 さっき感じた室内にいるもう一人の声だ……


「騎士団総長がこいつらを殺せと命令したのか?」


 グレンの声が震えてる、怒りを必死で抑えているような感じだ。


「さあな……私は何も知らない、知ってても答えられない」


「追放される予定だったこいつらが偶然何者かに殺されて、見に来たら偶然黒門さんが現れてよぉ……おかしいよなぁ……これで行動を慎めだ?」


 そこにいるのは『黒門』クロム様か……?

 なんかやばい空気だぞ……


「身勝手な行動ばかりしていると、騎士団から孤立すると忠告しているのだ、グレン……君も騎士でいたいのだろ?」


「信念を曲げてまでやらなきゃいけないものなら、騎士なんてこちらから願い下げだ!」


「ほう……赤門を降りると言うのか?」


「俺が辞めたら下っ端達はどうなる?」


「ククク……君を慕うものであるなら相応の対応を取るだろうな……辞めた後なら君には関係のない話だろうがな」


「アンタと……騎士団総長は何を企んでいる?」


「ん? なんのことだ? オスリー様は関係ないだろう」


「とぼけるなよ……知ってるんだよ、裏でこそこそと話し合いをしてるのをな」



 おいおいおい……なんかやばい話してるぞ……

 こんな話俺が聞いていい話じゃないだろ……



「ククク……急に多弁になったと思ったらそういうことか……」


 クロム様が急にツカツカと歩き出し、隠れて聞いてる俺の扉を全開に開いた。


 バレた!

 いや、もしかして最初からバレていたのか?


「誰かと思ったら、問題でウワサの無能くんじゃないか」


 はぁ? 問題でウワサの無能……?


 俺、問題になってたのか??

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