29 クーガ王国騎士団幹部(前)
クーガ王国の中心にそびえ立つクーガ城、各騎士達がこの城を拠点に任務をこなしている言わば騎士達の心臓部だ。
この国の騎士団は4つの部隊が存在する。
白騎士団
黒騎士団
青騎士団
赤騎士団
各騎士団の団長は国家が誇るクーガ城にそびえ立つ4つの門となぞらえ
白門
黒門
青門
赤門
と敬意を込め呼ばれている。
城の中央に建つ巨大塔の最上部にて、4つの門が円卓に腰掛け顔をあわせていた。
「おらぁ、もっと持ってこい!」
「はい、ただちに!」
威勢のいい掛け声に鼓舞され、城お抱えの上級シェフが轟々と燃える人の頭ほどはあるサイズの炭の塊を鉄板の上に乗せ、円卓に座る声の主の前に置いた。
その男は巨大な燃え盛る炭を素手で掴み炎ごとバリバリと食べだし数秒で平らげた。
「くうぉぉぉぉ……! もっとだ、もっと火を持ってこい!」
口先からは飲み込んだ熱が漏れだし、呼吸のたびに火が灯る。
ーー赤門ーー
『グレン・マグノリス』
『火喰』の加護を受け主食に火を取るグレンは主食に恥じないほどに本人も熱い、やると決めたことはやるがモットーで上であってもぶつかる事をためらわない熱血感である。
「鬱陶しい……」
見た目にも騒がしいグレンを隣に座る女が軽蔑し不快感を隠そうとしない。
ーー青門ーー
『ミーニャ・ロンデブルム』
騎士の中でも珍しい貴族出身の彼女は見た目や身なりこそ整っているが、口が悪く感情を隠さない。
しかしそれが受け入れられているのは貴族だからではなく実力が誰よりも優れているからであった。
「ヒャハハハ! 俺が鬱陶しいってか? 言ってくれるねぇ小娘ちゃんよぉ! まぁ俺の『火』とオメェの『水』じゃ相容れないってもんだよなぁ!」
「どうでもいい……1秒でも早く私の視界から外れることを願うのみだ」
「くぅぅぅぅ〜っ! 痺れるねぇいつも通りのツンツン具合だ、そんな態度じゃ下っ端どもも疲れちまうだろぉなぁ」
「赤門さんは自分のところの騎士達を『下っ端』だと思ってるのね……そこから私とは違うから話にならないわ……」
「実際下だろ? だから俺が抱えてやってるんだよ、俺んところの騎士達はお前らと違って追放なんてさせねぇからな!」
グレンがそれぞれの顔を見渡す、赤騎士団のみ追放された騎士はいないそれは追放の話が上がった時にグレンが強引に庇ってきたからだ、荒い口調はともかくとしてグレンは自分の騎士団を大切にしていた。
「上の命令に背いて追放から守っても組織が崩れるだけだ……」
「じゃあ誰がそいつを庇ってやるんだよ?」
「考え方の違いね……これ以上話しても無駄みたい」
「貴族様には下々の苦労なんて考えもつかねぇんだろうなぁ」
「なんだと!? その言い方は無礼だ訂正しろ」
ミーニャが急に向きになり食いついた、最も嫌いな貴族を絡めた人格否定をされたからだ。
「悪いことは言っちまったが訂正はしねぇ、俺はこうやって下っ端を守ってんだからよ」
口論をしながらもバクリと燃え盛る炭を口にほうばっていく。
「くだらない話をいつまでしている」
終わりそうもない2人の会話を黒いロングコートに身を包んだ男が遮った。
ーー黒門ーー
『クロム・ラハ』
騎士でありながら鎧をまとわない彼は謎が多く、出自や普段何をしているのかさえ把握しているものは少ない。
クロム・ラハという名ですら偽名ではないかと一部で噂されるほど謎の多い男だ。
「くだらなくなどない、黒門さんだって譲れないことはあるんじゃない?」
「どうだかなぁ、こいつの騎士団はいつもコソコソカサカサと見えないところで何やってんだか知らねえ……プライドなんてあるのかねぇ」
「黒騎士団は私の管理の元で、恥じることのない任務をこなしている。部外者にどう言われようと関係のないことだ」
「ほおぉぉ〜俺達のことを部外者ときたもんだ」
「あら……黒門さん、赤門さんはとにかくこの私が部外者だっていうの?」
『黒門』クロムは問い詰められても乱すことなくため息を吐き話しだした。
「黒騎士団は秘密主義、騎士ではあるが任務は極秘だ。我々以外の者はたとえ騎士であろうと部外者、それが黒騎士のプライドだ」
「口ではそう言ってても実際はどうなのかしらね……」
「クロムさんよぉ、アンタんとこの連中でいい噂をきかねぇ奴は山ほどいるぞ、それでもそう言ってられるのか?」
「他の騎士団と向いている方向が異なることもある、どう思われようと構わんが黒騎士団としては1束だ」
平坦な口調ではあったがクロムにも黒騎士をまとめるものとしての強い意志があった、グレンは下顎を突き出し、上空に向け火のためいきをはいた。
「まぁスジは通ってるってことと受け取ってやるよ」
続けて上を向き大きく口を開けて、燃え盛る炭を一口で噛み砕く。
「それよりよぉ最近の問題はアンタのとこだろ、白門さんよぉ」
ーー白門ーー
『アッシュ・ド・ベルナレク』
白熱する円卓にてひとり目を閉じ、静かに腕を組んで座っている。
無口な彼は余程のことがなければ熱くなることはない。
この話ないの中でも話に加わる素振りも見せず、ずっと口を閉ざしていた。
アッシュに向けてグレンは身を乗り出しだ。
「なんてったっけな、ちょっと前に追放された白騎士の無能君、アイツずいぶん騎士団にちょっかいだしてくれてるらしいじゃねぇか」
「『無能のスマイル』だったな、奴には黒騎士も煮湯を飲まされている……追放者とはいえどう言い訳する?」
「私の情報だと大聖堂で白門さんがあの追放者をかくまったなんて噂も出てるわよ」
赤青黒の騎士団長の視線を受けてもアッシュの姿勢は崩れない。
「知らないな……」
返事はその一言だった。
「そんな訳ないだろ!? 他の騎士団のしかもヒラなんてどーでもいいがよぉ、そんな俺でも顔ぐらい知ってる奴だぞ!」
「よく動く騎士だったわね、『無能』なりに」
「奴は実力を隠している……危険だ」
各騎士長がサレムについて聞き出そうとするがアッシュは口を開こうとしなかった。
「騎士団総長まもなくです!」
扉の前に立つ騎士が宣言すると4人の騎士長は表情を引き締め起立した。
まもなくクーガ王国の騎士の頂点、騎士団総長を交えての会議が行われようとしている。
今日中に後半も入れる予定です




