異世界探検 (2)
一日目
北に向かって歩き出す。
な、なにも見つからない。どこまで森が続いているんだろうか?
食べ物も飲み物も持っていない。
腹が減ったが、どうしようもない。だんだん暗くなってきた。歩くのは危険だ。今日は木の上にでも上って休もうと思ったが、落ちてケガする確率が高い。背の低い木に覆われた茂みを木を切って寝床にした。鳥の巣みたいだ。
二日目
さらに歩き出す。飲む物も食べるものも見つからない。
とりあえず、のどの渇きを紛らわすためにはっぱを食べてみ。にがい。
次に地面に生えている草を食べてみる。にがい。
今の現状、つらい。
今日も昨日と同じように、茂みに寝床を作って休む。腹がへって寝れなかったので、リップクリームを少し齧ってみた。意外といけるかもしれない。ついでに目薬でのどを潤してみた。口の中が湿った。そういえば目薬には眠くなるような成分が入っていた気がする。良く寝れるかもしれない。
三日目
今日は考えて北東方面に向かうことにした。なんとか水場を見つけなければならない。
空腹とのどの渇きがひどい。
ときどき意識が遠くなる。
インテリジェントカードを振ったり、呪文ぽいことを話して連絡が取れないか試してみる。
応答はない。ただのカードのようだ。
夕方さらに意識が遠くなった。
サーーーー音がする。
しばらく意識を失っていただようだ。
あたりが暗くなっている。
目薬とリップをさらに食べる。
腹の足しにはならないが、食べないよりマシだ。マシマシだ。
少し回復した気がする。不老不死でも食べないと死ぬのだろうか?
仰向けになり、空を見上げる星空が見える。
なんでこの世界に来て、あんなにはしゃげたのだろうか?よくよく考えると、蛇口をひねれば水がでる便利な世界で生きてきた人が、異世界で生活していけるわけないじゃないか。武器だって使えないし、魚もさばけない。きのみも見つからなければ、飢えて死ぬだけだ。
死ねば、不老不死じゃなかったことが証明されるわけだが。結果がわかったところで俺は死んでいるのだからわからないのか…
そんなことを考えながら、いつのまにか寝ていた。
四日目
空腹から目を覚ました。
またリップと目薬を飲む。
森は霞んでいる。
感じた。
確かに、近くに何か水がある感じがする。
カンはいい方だ。
走り出す。
無様な走り方だ。久しぶりに走った気がする。全然足が上がらない。腕も上がらないが、それでも懸命に前に進んだ。
よろけて転ぶ。無様だ。しかしすぐに起き上がって走る。感じるんだ。見えないけど、そこにある!
森を抜けるとそこには、池があった。
霞がかかっている。
朝日が射しこみ幻想的な世界が広がっていた。
水辺まで走った。また転んだけど、止まらない。
池の手前でよろけながら、池に手を伸ばした。
綺麗だ。
そのまま水を口に運んだ。
美味い、こんなに水が美味しいと感じたのは生まれて初めてだ。飲めるだけ飲んだ。
顔をそのまま突っ込んで飲み噎せる。
けど、止まらずに飲み続けた。
落ち着いてきて、ついでに顔を洗った。朝だしな。
身体も洗おうかと思ったが、少し寒かったのでやめておいた。
しかし腹は膨れない。いや水で膨れているが、栄養が足りない。生命を維持するために何か食べねば。
あたりを見回すが、何もないし。いないな。
水辺にいれば動物は来るだろうが、捕まえられないだろう。好戦的な奴と戦うには、体力がもたないし。いきなり実践はキツイなぁ。
池の中には、魚とかいるかなぁ?魚とならなんとか取れると思うのだが…普通に考えると釣りかな?
竿はともかく、糸とハリがないなぁ。網同様で、あとは罠かな?
そんなことを考えると、音がした。
隣にはクマがいた。
目があった。
ある日、森の中で、クマ?に出会った。