違う世界の神に会う
「ハッ」光に包まれて、目を開けるとそこは何もない、真っ白な世界だった。
白い。本当に白い。どこまでも白い。
七つの球を集めると願いを叶えてくれる龍がでるお話しの、何とかと時の部屋。一見そんな感じだか…
「熱ッ」急に左手が焼けるように痛くなる!
手をみるとボールペンで書いた数字が、青白く光って消えていった。
擦ってみるも、熱くはない。いつもの左手だ。
一体、何が? たしか、運転をしていて......
左手には入金額を書いてあったんだっけか?
わからん!ここはどこだ? 天国か?白いし、神聖そうな感じもする。
もしくは核でも爆発したのか? 確かに近くに原発もある。
いやあれか!人の細胞を活性化させて、高温で茹で上げるような最新兵器があったか!
でもあれは、機動兵器なんちゃらの世界で、まだ到底完成する技術はないよな?
まだアルプスの少女が立っただけで、機動兵器は自分で立ってすらいない世界でそれはないか?
だとすると、やはり事故か!事故で正面衝突。光ったのは突っ込んでくる車のフロントグリルかなんかが反射して……
いや!それならそもそも、なぜここにいる?
意識もある。手を握ってみると感触もある。
まったくわからんが、何とかして戻らねば!
戻る?
どこに?
どうやって?
バンッ!! 仰向けに倒れこむ。
なんだか、疲れた。腹も減ってきたし、なんだか眠い。
それよりも戻らない方がいいと思ってしまった。
死にたい。いなくなりたい。いなくても誰も困らない。
そう考える自分をなんとか理性みたいな防衛本能で守ってきたが、何かが切れたようだ。
事切れた。
精神的にも俺は死んだと思う。
どうせ、肉体も死んだのだろう。
痛みもなく、苦しまずに死ねたのなら、儲けものじゃないかとも思った。
ならそれでいいじゃないか。良かったじゃないか。納税と返済だけの毎日で、親のすね齧って、風俗通いのクソみたいな人生なら終わってよかったじゃないか。
唯一、悔いがあるとすれば大人気漫画海賊王の最後が見れなかったぐらいだ!
わが人生に悔いなし!
手を頭の下で組んで、ついでに足も組んじゃって。
のびのびおくんスタイル。
目をつぶって。
いい気持ちだ。
寝れる。
そして起きたら、病院のベッドの上とか勘弁してくれよ。尿道カテーテル痛いんだから、一生やりたくないよ?
「おい!おぬし!」
「?」なにか聞こえたか?
「そこの、寝ているお前じゃ」
バッ!と起きて声のする方を見た。
そこにいたのは、「神」だった。
どうして神だとわかったのか?って?それはこの後自分で名乗るからだ。
だから今の俺の目の前にいるのは、便器に座る白装束のじいさんだった。