変わり者と王女様:04
05話の後。
色々と事情を知った父親の台詞。
「ああ悲しいかな、我が息子は無節操に乙女の心を盗んで行くようになってしまったのか」
「父上、家宝の剣を帯剣した母上が後ろに見えるのですが」
「え? あっちょっと待って母さん!真剣は駄目だよ!?」
「母上……、夕飯までには帰って来て下さいよ?」
「僕の心配は無しかい!?セン君!」
「無いですね」
学び舎に通っている間に人脈を作りつつ有望そうな者が居れば投資をするつもりだった。
一年目は内部事情を知るのに費やした時間が多かったが二年目からは動けると思ったのだ。
だが。
「先輩!見つけましたよ!」
走って撒こうとすれば何処からかやって来てタックルをしてくる。
踏み込みが足りている。肋骨が若干痛い。
「先輩!こんな所に居たんですね!」
隠れて撒こうとすれば何処からかやって来てタックルをしてくる。
蹴り足のタイミングが上手くなっている。肋骨が痛い。
「先輩!ここに居るって聞いて来ました!」
確実にバレないであろう場所にも何処からかやって来てタックルをしてくる。
押し倒された。色々な意味で外聞が不味い。慌てて飛び起きる。
「先輩!いつまでも逃げられるとは思わないで下さい!」
屋上に逃げ込めば手製のサンドイッチと共に何処からかやって来て横に座ってくる。
何故元から二人分で用意してあったのかが疑問だ。美味かった。
「先輩!皆さんから色々なお菓子貰って来ました!一緒に食べましょう!」
とうとうクラスメイト達に捕まえられ少女達のお茶会に連行されだした。
男連中から笑顔で怒られながら送り出されるが周りの貴族としての階位がヤバいお茶会だった。
いつのまにフラロンス嬢と仲良くなっていたのだろうか。
「先輩!なんでいつも逃げるんですか!?子分を置いて行かないで下さい!」
ラッソ氏に教わった隠密術で隠れていると魔法の全力使用で見つけられた。
そうでなくとも自分は有名人になってしまったらしく人づてに場所が割れているらしい。
大分邪険にしていると思うのだが何故この少女はここまで自分に構うのだろうか。
「先輩!今日は我が家でお茶でも飲んで行かれませんか!」
色々な意味で心臓が縮む誘いをそう簡単にするんじゃないと盛大に説教をした。
それすらも嬉しそうに聞いているのを見てしまい解った上での行動だと悟れば怒りも増した。
そもそも断って無事に済んでいる我が家と我が身が不思議なのだが。
この国の王族は自分が知識として知っている『王族』ではないのかも知れない。
はっきりと認めたくなかっただけなのかも知れないが。
普通では無い事を再確認したのはある日自分が根城にしている部屋の扉を盛大な音と共に開き入って来た彼女を見た時だった。
右手で扉を開けたようで左手には誰か別の人物の手が握られているのが見える。
「先輩先輩!友達が出来ました!」
「ほう、誰だ?」
「テオちゃんです!」
「っ!?」
新たな犠牲、もとい戦友が増えると知り若干浮きかけた心が一瞬で凍り付く。
最初に呼ばれた名前から自分が今脳裏に浮かべている人物と合致してくれるなと言う思いは一瞬で瓦解する事となった。
なるべく関わらない様に動いていたのに何故そこをピンポイントで持って来れるのか。
「テオちゃん、この人はセン・フォン・ラインボルト侯爵家長子さん。私達の先輩だよ!」
「は、初めまして……。テオ・ラッソと言います。庶民です」
「う、うむ。よろしく頼む。その……テオ嬢」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「先輩の対応が全然違う!」
「当たり前だ馬鹿者!」
ああ、目の前の爆走王女に関わらせない様にと動いて来たのにと思えば気力も萎える。
それでもお互いに目線で気遣いあえば今後のストレス量も少しは減る気がした。
テオ・ラッソの受難はまだまだ続くらしい。今度胃に優しい物でも作ってやろう。
ある数年間だけその学び舎には王の名が付く一室が存在していた。
その名を『王女様の遊び部屋』と言う。
元々は今を時めく話題メーカー、セン・フォン・ラインボルトの私室状態だったらしい。
しかし王女が様々な者を連れ込んでは取り込んで行った為にこう呼ばれだした。
名付けの理由は『二人』に説得された者曰く『遊ぶ様に全てを変えて行った』から。
らしい。
「先輩先輩!今日は何して遊ぶんですか!」
「今日は何も無い!」
「えええ~~~!?」
「ええいうるさいこれでも食べて静かにしていろ!」
「あ、新作のクッキーですね!頂きます!」
「後で感想を提出しておけ!」
「はぁい!」
二人のやりとりを間近で眺め続けたかった者が多かった事は暗黙の了解である。
話に合わせたタイトル考えないと自分で内容把握出来てない事に気付きました。
何処かで考えます。




