10.
一文無しから一気にお金持ちになっちゃった、、、。
手元にもらった銀行のカードを見ながらぼーっとする。
父も一緒にぼーっとしている。
白金貨200枚なんてて思ってる私と違って、伯爵家に入った賠償金の大きさに驚いてこうなってるんだけどね。
年間の伯爵領の運営費の数年分、、、下手したら10年分あるって言ってたし。
逆にサミュエル様と文官さん達は大喜びしてた。
このカード、魔鉄と言われる物で出来ていて、カード自体が魔道具だ。これを全ての国の王都、領都にある神殿に持っていけばどこでも自由に出し入れできると説明された。
、、、地球の銀行の仕組みとだいぶ一緒ですね。
私は知らなかったのだが冷蔵庫や冷凍庫などもあるらしい。
バカでかいし、バカ高いけど。
日本では20〜30万でかなり良いモノが買えるし、10万ちょっとで買えるモノもあるけど、こっちだと白金貨20枚2000万出してやっと冷蔵庫単体が買える。大きさは外側が3畳ほどあるのに対して容量はその半分という。
誰が買うの?って思ったら王城や、公爵家、めちゃくちゃ資金力のある商家など極々限られた存在のみ所有してるんだそうだ。
あ、夫人の生家だった侯爵家にもあった。
降爵の際賠償金の一部に当ててくださいと、屋敷ごと手放したみたいで、今は一旦王家預かりになり競売待ち。一等地にあって屋敷の規模も大きかったらしいので買い手がつくのかどうか、、、。
売れなかったら公共施設にしようかって話もあるようだ。
説明が終わった王太子殿下は今席を外している。一緒に王都にある中央神殿から枢機卿が一緒にやって来ていて呼びに行ったから。
枢機卿が来た理由は私とましろちゃんへの挨拶。
と、諸々の騒動でガッツリ減ったと言うかクビにした伯爵領の警備の為の聖騎士派遣のため。
今から会うのだけど新たな権力者と会うのは、正直めんどくさいし、遠慮したい。
お行儀の悪さ全開でダラければ、ましろちゃんもソファーに飛び乗って来て私と父の間でダラけ始めた。
「いくら咎められないとは言え、あまり見目の良いものじゃないから枢機卿が来たらちゃんと座るようにね。」
と苦笑いしながら父に注意を受ける。
「もちろんだよ。パパ。」
と思ってたよりも頼りない声だったが一応返事はした。
ましろちゃんはしっぽが振られただけだったけど。
起きて居られる時間も伸び、声もすっかり元通りになった父だけど、以前のように歩けるようにはならないようだ。
ましろちゃんによると悪さをしていた毒自体は、もう完全に取り除けたけど、2年間影響下にあったせいで足は動かず、筋力も充分には戻らないらしい。
治癒魔法にも限界があるんだよと言われた。
エリクサーなら治るけどと、材料にドラゴンの血や真冬の氷山の頂上に1年に1度しか咲かない魔力草、賢者の石など無理ゲーじゃね?って感じの材料しか使われず、作れる錬金術しが居ないとも言われている様な薬をどうやって手に入れろと??
悶々と思考の渦にハマりそうになった時、ノックの音が響いた。
「来られたようだね。ユリアもましろちゃんも座って。」
と父に促されて渋々座り直す。
さっとサラさんが髪を整えてくれて、それを待ってたとヘンリーさんが扉を開けた。
殿下に連れられて入って来た枢機卿は30代前半くらいの若い男性だった。
後ろにはジョンさんともう1人騎士の方が続いてる。
「はじめまして、ユリア様、聖獣ましろ様、ボイニッシュ伯爵。トラタム王国中央神殿で枢機卿を拝命しておりますセドルファス・ドランタと申します。本日は急なお願いにも関わらずこうしてご挨拶する時間を頂きありがとうございます。」
と神秘的な感じのする優雅な一礼をされた。
事前に父だけじゃなく家令のヘンリーさん達全員から言われてたから、立ち上がって自己紹介。
「はじめまして、ドランタ枢機卿閣下。ユリアと申します。隣からましろちゃんと、父のダニエル・ルイス・ボイニッシュです。」
覚えたてのカーテシーを披露する。
父も少しだけ上半身を動かして礼をする。
父はあくまで見守り役なので神殿幹部には主役?の私が紹介しなきゃなんだって。
聖獣はもちろん契約者も絶対だから、セリフはなんでも良いし敬語がなくても怒られない。
枢機卿は優しい方で怒らないって教えてくれたのら聖騎士ジョンさん。
嫌な顔も馬鹿にした顔もせず、私の下手くそなカーテシーも笑顔で見てるし、小さく拍手までしてくれてる。
なんか恥ずかしくなってきたから、そろそろ手止めてもらっても?
「生活環境などについての報告は受けておりましたので、我々もどうにか出来ないかと思っておりましたが、内政干渉にもなりかねず何年も過ぎてしまいました。今日こうしてお顔を拝見でき、また伯爵様とのしっかりとした絆も見え、今は環境も改善されたと報告もあり安心致しました。」
とチラリと殿下に視線を向けながら、ニコニコしたまま言い放った枢機卿に私が言われたわけじゃないのに冷や汗が出た。
出来たのに逃げ出さなかったのは私なので、あまり突っ込まないでください。私にもなんか刺さるので、、、。
視界の端で殿下は苦笑いしながら視線を逸らしてた。




