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悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【事件簿】長編シリーズ

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山積みの謎

 この日の夜、辺境伯とその婚約者は大きなベッドに二人で横たわっている。そして今日の振り返りをして、カタリーナを手にかけた犯人像に迫っていた。そして根本解決はまだであり、犯人が誰で目的は何か。それを紐解く必要があるとジークフリードは語ったのだ。


 状況から考えるとフェデリコが目撃した優男が怪しかった。カタリーナはその優男と共に、荷馬車に乗り、フェデリコの前から消えた。そして毒を盛られ、『世界で一番美しい遺体』となり、辺境伯とその婚約者に発見される。


 優男は荷馬車で移動する道中、休憩を提案。そこで二人でワインでも飲んだのではないか。もしかするとそのまま荷馬車の上で、二人はそういう行為をしたかもしれない。検死で確認されたそれはフェデリコのものではなく、優男のものだった……その可能性もある。


 最終的にカタリーナは死亡、その体は麻袋に包まれる。彼女の遺体を乗せ、荷馬車はあの森の入口へと向かう。その道中で優男は花屋に忍び込み、花を手に入れた。そして街路樹のサイプレスを入手し、森へ到着。遺体を入れた麻袋は引きずられ、川に着くと小舟に安置された。


 カタリーナは『世界で一番美しい遺体』となり、川を下ることになった。


「……川を下って来たカタリーナの遺体と、偶然、自分達は遭遇した。だが犯人はなぜ彼女に毒を盛る必要があったのか。そこが分からない。痴情のもつれ……なのかどうか」


 ジークフリードはそう呟き、自身の髪をかきあげた。少し濡れた感じの彼の髪はブロンズのような色合いに見える。着ている濃紺のローブは少し乱れ、艶めいて見えた。


「犯人は盗品であることを伏せ、カタリーナに宝石箱を売り、お金を得る。でも彼女を殺害し、宝石箱を取り戻すつもりだったのでしょうか?」


 エリディアナが尋ねる。


 ジークフリードは彼女の髪に触れながら、「その可能性もあるが」と言いつつ、持論を展開する。


「もし金をせしめ、宝石箱を取り戻す計画なら、フェデリコの滞在するホテルに忍び込んでいるはずだ。とっくに取り戻しているだろう。だがそうしていない。そして優男というが、騎士見習い経験のあるフェデリコを瞬時に倒した。武術に覚えがある者が犯人になる」


 フェデリコの話から、彼と同じような、華奢な男性をエリディアナは想像していた。しかし麻袋にいれた死体も引きずっているのだ。相当な筋力がないとそれは無理だろう。


「優男ではなく、武術を覚えている者が犯人となると……。『キュレーションルーム』にいた警備の兵士が犯人に浮上する。だが彼らに話を聞いたが、盗んでいないと思う。そもそも宝石箱に触れてさえもいない。それどころか確認をとった修復士や修繕係、城の使用人、宝物庫の職員、警備の兵士……この中に怪しい者は、いなかったんだ」


 ジークフリードはため息をつく。もし宝石箱を持っていれば、それは目につく。だが誰一人として宝石箱を持ち、『キュレーションルーム』から出た者を目撃していないのだ。


「あ、でも。博物館の近くで謎の女性とカタリーナは接触していますよね? そこで封筒を、メッセージを受け取ったと、フェデリコが言っていたかと」

「! そうだな。……協力者がいたのか! しかも女性だ。だがそれこそ選択肢は狭まる。修復士や修繕係、宝物庫の職員、警備の兵士、みんな男性だ。城の使用人は……いや、彼女達は違うだろう。博物館の近くで女性と接触したと言っても、城の人間とは限らない。一般開放しているんだ。誰でもあの付近は出入りできる状態だった」


前進しても、まだ謎は沢山残っている。


「朗報もあるぞ。夕方に届いた伝書鳩の手紙。解読が終わった。王都の秘密諜報部からだ」

「秘密諜報部! ではエニグマ・シークが動いてくれるのですね!」

「ああ、そうだ。秘密諜報部から手紙を受け取ったのは初めてのこと。いきなり暗号文で届くとは。驚きだった。やってくるのは若手のホープの特別捜査官だ」


 エニグマ・シークは闇ルートで取引きされる名画や秘宝を探すのが任務。だが “アズライトの輝き”は発見された。今は毒殺犯の捜索が課題。特別捜査官は協力するのか?


「そこは自分も気にはなった。でも既に特別捜査官が乗った汽車は王都を出発している」


 こうなっては二人とも特別捜査官を待ち受けるしかない。「きっと協力してくれる」とジークフリードは期待を込めて呟いた。


お読みいただきありがとうございます!

じわじわと点と点が結びつく。

ミステリーの醍醐味といえば

無関係と思われる事象がこんなふうに結びついていたのかと分かった時!

では続きはまた週末にお会いしましょう♪

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