転移先はお城?
☆じしょ☆
・キョロ充……人がたくさんいる場所で一人が心細くて、どこかに友だちがいないかと、キョロキョロ周りを見渡している人を指す言葉です。
一瞬、視界が真っ白になって景色が切り替わりました。
光が収まると、もうやくざな神様の姿はありません。
かわりに目の前には銀髪の女の子がいました。
少女は驚いた様子です。
おっとりとしたお目目を見開かせ、あなたを見ています。
天井がとっても広い場所ですね。
床には赤いじゅうたんがしかれています。
ここはお城の中でしょうか。
「勇者召喚は 成功か!?」
お年寄りの声が聞こえます。
周りを見渡すと、あなたは複数の人に囲まれていることに気付きます。
これはいけません!
人ごみに慣れていないあなたは視線が集まっていることに気付いてきょろきょろ、
キョロ充*1になってしまいました。
落ち着いてください。あなたにお友達はいませんよ。
当然この場所にもいませんから!
「なんだ? あれは」
「きいろいゴブリン?」「きばんだゴブリン?」「召喚は失敗か?」
あなたを囲む身なりの良い人たちが、やつぎに陰口をたたきます。
当然陰口はあなたにも聞こえます。
身なりの良い人たちの言葉はあなたにも理解できているようですね。
どうやらあなたでも異世界の言葉は理解できるようです。
ほら、彼らはあなたのことを噂しているようですよ。
……え? 理解できませんか?
またまた~。ジョークじゃなくて本当に理解できていないのでしたら日本語の勉強をやり直しですよ♪ 最近はグローバル化が進んでいるので英語や中国語とかもおすすめです。
「皆の者 口を控えよ。
見ての通り 呼び出されたのは 黄色い肌のゴブリン。
召喚は失敗だ。
よって一刻も早く その魔物を 処分せよ」
今の言葉を発したのは奥で豪華な椅子に座っているおじいさんです。
おじいさんには立派な髭と王冠が付いています。
おそらく王様なのでしょう。
王様はとてもえらい人物です。えらい人の言葉は絶対ですから逆らえません。
だから身なりの良い人たちは帯剣していた剣を抜いて、あなたの方へにじりよっていきます。
こわいですね。見てください。彼らが鬼の形相であなたをにらんでいますよ。あなたは彼らになにかしたんですか?
「皆さん おまちください!」
おや? 運がよかったですね。銀髪少女が制止を呼びかけたことで、身なりの良い人たちは動きを止めます。おかげで剣の錆にならなくてすみましたね。
「この者は 確かに見た目が ゴブリンです。
きいろいです!! 黄ばんだお顔です!!
しかし それだけで勇者ではないと
断定するのは 早計です」
どうやら少女はあなたを庇っているようです。感激ですね。
世の中は広いです。まさかあなたを庇ってくれる人がこの世界にいるなんて思いもしませんでした。
「ですから このゴブリンを
投獄して 経過を観察しましょう。
判断するのは それからでも遅くありません」
「……ふむ。
たしかに 我が末娘である
りんせす の 言う通りだ。
では だれかこの者を 牢屋に入れておけ」
再び王様は命令します。しかしおかしなことに命令を実行しようと動く者がいません。おかしいですね。彼らは小声で何やら話しています。ここは聞き耳を立てて見ましょう。
「おい。誰がいくよ」「おれ やだよ。なんか不気味だし」「相手はゴブリンだろ。不用意に近づいたら 危なくないか」「ちょっと、じゃなくて かなり 生理的に無理」
どうやら彼らはあなたに近づくことを嫌がっているようです。ねぇ? ちゃんとお風呂に入りましたか? 入っていないのでしたらこちらにもよらないでくださいね。
やがて彼らはじゃんけん大会を始めます。そして敗者が決定したようです。
ものすごく嫌な顔をした男性があなたを牢屋に連れて行ってくれました。
やりましたね。まさかたったの数分で居場所を作るとは。
さすがの手腕です! おみそれしました!
あとは、あたらしい住処になる牢屋の中が快適だといいですね♪




